昨年12月号のコラムに、『社長の最大の役割(1)』として、「①社長に課せられた役割を自覚せよ」、「②トップがすべきは、先を読むこと、決めること」を説明しました。今回はその続きで、中小企業の社長が次世代に事業を残していくために心すべきポイントをお伝えしたいと思います。
12月号の最後の方で役員会の方法に触れましたが、私が船井総研の社長に就任して売り上げを伸ばせた理由の一つに、役員会の前に社内の意見を集め、検討した上で議題として提案し、社員の意見を経営に取り込んだことがあると思っています。採用された意見は社内で公開し、ほかの社員も会社のためになることを考える風土をつくっていきました。社員一人一人は情報収集のためのアンテナです。先の見えにくい時代だからこそ、全社一丸となり未来を切り開くという意識を共有することは、大きな武器となります。
では、社長の役割の三つ目以降を説明しましょう。
③経営判断とは、現状の最善ではなく10年後の最善を見越して決める
今もうかるからといって飛びつかず、5年後、10年後のことを考えてください。混沌とした世界情勢を見た時、10年後の予想はつきません。それでも、5年後にはどのような世の中になるかを自分なりに考えビジネスに当たってください。
④良い時に会社を伸ばすことは誰でもできる
悪い時に会社がつぶれないようにすることが、真の経営力であると考えましょう。
⑤周囲が売り上げ1割減という時は、2割減で考える
悲観的に最悪な状態を想定し、最善を尽くしてください。
⑥BSを大切にする
財務諸表のBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)は別物です。PLとして瞬発力がどれだけ上がっても、BSにおける体力が弱ければ生き長らえることは困難です。
⑦経営判断に使う数字は、社長自ら電卓をたたいて計算せよ
中小企業の財務状況把握のための計算は、人任せではなく社長が自分で行い、経営状態をダイレクトに認識するべきです。
⑧社長は会社の数字を意図的に創出できる人でなければならない
いざ売り上げが必要な時は、社長が動いて数字を埋める。そういった腹のくくり方が、社長には必要です。
⑨企業の存在意義は、付加価値を生み出すことと分配すること
付加価値とは利益のことで、この利益をいかに創出し、給与や賞与の形で従業員に分配するか。これが企業の存在意義の一つです。
以上、ヒントになれば幸いです。皆さまも社長の役割について、ぜひ考えてみてください。
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社名 : 株式会社 風土
TEL : 03-5423-2323
担当 : 髙橋
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