昭和の頃は、会社のために人が働く時代でした。当然、処遇なども一律でしたが、個人の生き方が尊重される現代では、社員一人一人に対し最適な人材マネジメント、個別社員適応人事の実践が必要とされます。
企業が利益や組織力を強化するために、人材をアセット(資産)と捉えて管理し、経営に役立てることを「ヒューマンアセットマネジメント(人的資産経営)」といいます。以前紹介したことがありますが、社員それぞれの能力を高めることは企業の戦力を高めることと一致します。100人の社員がいれば、100通りの働き方への配慮が求められ、それができない組織には、良い人材が定着しなくなるのです。一人一人に合った環境をつくることは、辞めにくくなるだけでなく、能力を最大限引き出すことができ、個人も職場に魅力を感じるようになります。
未就学児教育に長く携わってきた人から聞いた話です。最近3~6歳の幼児と面談した際、驚くことに皆おとなしくしていたそうです。コロナ禍前であれば、この年齢の子はいくら注意しても勝手に動き回っていました。しかし3年間、マスクを着用し、外出を控え、人との接触は極端に少なくなりました。それまでと全く違った環境は、子どもたちをも変えてしまったのでしょう。人格形成に大切な時期にコロナ禍を経験した子は、どのような大人になるのでしょうか?Z世代やα世代など、それぞれ特徴はありますが、15年もすれば、組織のリーダーは「幼少期コロナ禍経験世代」のマネジメントもすることになります。 以前、宝石店のコンサルティングをしている時、年商2~3億円の店舗で、売り上げのトップは年間1億円売るベテランの女性でした。ほかの若い女性たちは3~5千万円止まりです。ある時トップの彼女が店を辞め、売り上げが下がるかと思いきや、若手が成績を伸ばし、間もなく1億円売り上げる人まで現れたのです。本当は頑張ればできるのに上がいると本気を出さない。こういったことは、船井総研でもありました。
「2:8の法則」をご存じでしょうか。集団の2割が頑張り、その2割がいなくなったらまた新しい2割が現れ、組織を支えます。環境さえ整えば、人は伸びるのです。そのためには社員それぞれへの理解が必要です。私は部下ノートをつくり、年に一度じっくり話をし、伸びそうな点や向かないポジション、家族の問題まで書き留めていました。
例えば、カルチャースクールで勉強したい、という強い思いのある社員がいれば、9時から17時ではなく7時から15時の勤務にするなど、他社にない処遇は、企業の強みとなります。人事施策を実践して現状を打破するには、今がチャンスです。
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社名 : 株式会社 風土
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担当 : 髙橋
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