おしゃべりしながらゲームプレイを配信する「ゲーム実況」という文化がある。YouTubeやニコニコ動画、Twitchで動画がアップされたり、ライブ配信がなされたりする。さまざまなYouTuberやVTuberのコンテンツになっており、筆者もVTuber「ゾンビ先生」として実施している。
ふと懐かしの『かまいたちの夜』を実況してみた。本作はスーパーファミコン用ソフトで、チュンソフトから1994年に発売されて大ヒットしたサウンドノベルゲーム。雪に閉ざされたペンションで「こんや、12じ、だれかがしぬ」というメモから怪事件が起こる。大人になってからプレイしても実に面白く、研究者の血が騒いで周辺情報を調べると、ロケ地は長野県白馬村に実在するペンション。当時から本作のファンが数多く宿泊したのだそうだ。まさにコンテンツツーリズム! 90年代からゲームでも起こっていたとは驚きだ。
では、本作をつくった人たちは今、何をしているのだろうか。『かまいたちの夜』シリーズに深く関わった麻野一哉さん、田村寛人さんは『テクテクライフ』という位置情報ゲームを制作、運営している。本作はスマホ上の地図をタップして、日本全国を塗ることを目指すゲーム。街区を塗って、「字(あざ)」が完成すると経験値がアップ。今まで気にも留めなかった「字」の名前が分かったり、入ったことのない路地に足が向いたり、地域に対するまなざしの解像度が上がって実に楽しい。
麻野さんは兵庫県尼崎市生まれ。上京した時に「東京を全て訪れてやろう」と考えたことが、本作を発案するきっかけになったという。今『テクテクライフ』は、兵庫県と連携協定を結び「テクテクひょうごフィールドパビリオンめぐり」を開催中(4月26日~9月30日)。その惹句(じゃっく)は「4がつ26にち、0時、ひょうごごこくではじまる」。コンテンツは時空を超えて人・事・物と場所をつなぐ。
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