日本商工会議所は9月18日、小規模企業支援に係る地方交付税の適切な執行、経営指導員などの設置定数基準の見直しなどを求める「小規模企業振興対策予算の拡充に関する意見・要望」を取りまとめた。10月4日には、日商の石田徹専務理事が、全国知事会の古尾谷光男事務総長に要望書を直接手渡し、実現を強く訴えた。
要望書では、商工会議所が、経営発達支援事業への対応や度重なる制度変更への対応支援などにより、1事業者当たりの経営支援業務が増加している点を指摘。また、多くの都道府県では地区内小規模企業数が経営指導員等の設置定数の基準となるため、経営指導員などの人数が減少しており、小規模企業支援や地域活性化事業に支障が生じる恐れがあると懸念を示している。また、経営指導員などの世代交代が進んでいることから、経営指導員などの育成にはOJT指導などにより、ベテランのノウハウの若手への移転・共有が急務としている。
このため要望書では、商工会議所の経営支援体制の強化には経営指導員などの安定的な確保・増員などが必要であることから、小規模企業支援に係る地方交付税の適切な執行、経営指導員などの設置定数基準の見直し、設置定数基準から算出される定数を超えた人数を設置できる規定の柔軟な活用、広域経営指導員などによる小規模企業のセーフティーネット機能維持、経営指導員などの人手不足に対応するための年齢要件や資格要件の緩和などを求めている。
また、小規模企業振興事業の強化に向け、都道府県版「小規模事業者持続化補助金」など、商工会議所と連携した事業者向け施策の実施・拡充、小規模企業振興に資する条例・計画の制定や商工会議所の役割の明記、関係基礎自治体と連携して行う地域活性化事業などの経営改善普及事業への位置付け・予算措置などを要望している。
古尾谷事務総長は、「中小企業振興は都道府県の政策の柱。本要望・意見は、各都道府県知事宛に周知する。これからも、都道府県は商工会議所と連携して、中小・小規模企業支援、地方創生に取り組んでまいりたい。各都道府県では、10月から具体的な予算編成作業が始まるため、ぜひ地元からも積極的な働きかけ・対話をお願いしたい」とコメントした。
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