女性のスキル取得と就労を支援 地域のデジタル人材増強につなげる
株式会社ママクリエイターラボ 代表取締役 榊原 杏奈(さかきばら・あんな)
子育てと仕事のキャリアが両立できる場所を
私は大学卒業後、大手百貨店に就職しました。婦人雑貨売り場のマネジメントを担当し、企画の立案などを行い、総合職として12年のキャリアを積みました。しかし、産休後に職場復帰すると、それまでのポジションはなく、ショップ販売員として配属されることになったのです。
不慣れな業務と子育てで、職場では頭を下げることの連続でした。肩身が狭く、能力を発揮できない状況下で、心身ともに限界を感じたこともありました。百貨店を退職した後、自分と同じ「働くママ」が子育てと仕事のキャリアを両立できる場所をつくろうと、起業を決意しました。
起業に向けてキャリアコンサルタントの資格を取得し、各種セミナーや講習会に参加する中、子育て中の女性の働き方として可能性を感じたのが在宅ワークです。特にオンラインで作業できる動画編集など、クリエイティブな仕事に需要があると知りました。そこで、「ママクリエイター」という働き方を構想し、育成から就労支援まで一貫して行う事業を立ち上げました。私自身、クリエイティブな仕事は未経験で、ゼロからのスタートでした。幸い、講習会で知り合った制作会社に動画編集の指導、案件の発注をしてもらえるなど、取引先を確保できました。
事業の一環として、オンラインでも受講できる「ママクリエイタースクール」を開設し、卒業生に当社が受諾した案件を発注しました。卒業生がスクールで教える側に立つ仕組みも構築し、動画編集やWebデザイン、イラスト作成など、講座数を増やしていきました。ママが無理なく通える月謝制にするなど、工夫を凝らしています。
卒業後も継続して学び、ビジネスサポートが得られる「ママクリエイターラボコミュニティ」というサービスも始めました。働く上で、子どもの急な発熱、お客さまとトラブルがあった場合など、相談に乗って対応しています。毎月オンライン講座を開催するほか、イベントも実施し、ママクリエイターの交流の場にもなっています。
「じまんのママ」1万人が目標
当初は数人だったママクリエイターも次第に増え、今では全国で300人以上に達しています。スクール事業では、神戸市をはじめとする行政との連携、フランチャイズ化により北海道や島根県、熊本県に支部をつくるなど、取り組みを広げてきました。今後はさらに受講者を増やし、さまざまな企業の広報を担当できる人材、各地域社会に教育を還元できる人材の育成に努めたいと思います。
当社の経営理念は「じまんのママ」です。子育ても仕事のキャリアも自分で選択でき、自信にあふれ、生き生きした笑顔の女性。そんなじまんのママ1万人が活躍できる働き方をつくることを目指し、これからもキャリア支援を行っていきたいと思います。
会社データ
社名 : 株式会社ママクリエイターラボ
所在地 : 兵庫県神戸市中央区磯上通4-1-14 三宮スカイビル7F
電話 : 090-7763-1270
創業 : 2019年
事業概要 : コンサルティング業(在宅ママのクリエイター育成スクール事業、事業者向け広報サポート)
HPはこちら : https://mama-creator.com/
【神戸商工会議所】
※月刊石垣2025年1月号に掲載された記事です。