政府は11月10日、「日本成長戦略会議」の初会合を開催した。同会議は、高市早苗首相が議長を務め、関係閣僚に加え、日本商工会議所の小林健会頭ら人の有識者委員で構成。当日は、総合経済対策に盛り込むべき重点施策(案)などについて議論した。会合に出席した小林会頭は、「力強い日本経済の成長には、地域経済の好循環実現が不可欠。その推進役は雇用の約7割(三大都市を除くと約9割)を担う中小企業・小規模事業者である」との認識を強調するとともに、「人口減少下においても持続的な成長を実現するため、将来への期待を高める骨太な成長戦略が必要」と述べた。
小林会頭は、成長戦略に盛り込むべき視点として、①経済循環に向けた環境整備②中小企業の付加価値創出・拡大③地域の「稼ぐ力」の強化――の3点を提示。①では、「中小企業の持続的な賃上げや投資を進めていくためには、大企業と中小企業の共存・共栄関係の構築が不可欠」との認識の下、価格転嫁など取引適正化のさらなる徹底の必要性を指摘したほか、過度な円安の是正に向けた政府・日銀一体となった金融政策などを求めた。
②については、価格転嫁、取引適正化などの環境整備の下、経営者の自己変革を通じた挑戦を支援する重要性を指摘。また、付加価値拡大への挑戦支援として、事業承継税制特例措置の恒久化や大胆な投資促進支援、戦略分野への複数年の予算措置などを求めた。
③では、国内投資の拡大や地域における消費活性化に向け、域外企業からの投資を促す税財政支援などを要望したほか、直接金融による地域成長企業などのエクイティ調達の拡充、人材確保・育成支援、「地方創生2・0」の基本構想政策の実現に向けた交付金などの拡充の必要性を指摘した。
高市首相は、「供給構造の抜本的強化のためには、官公庁による調達、新たな需要の創出や拡大策、複数年度にわたる予算措置のコミットメントなど、投資予見可能性の向上につながる措置により民間投資を後押ししていく必要がある」と述べ、重点施策の内容を総合経済対策に盛り込む考えを表明。必要となる補正予算の確保や税制の実現に向け、直ちに着手するよう関係閣僚に指示した。
