日本商工会議所の小林健会頭は3月5日、定例の記者会見で、イラン情勢を巡る世界経済への影響について、原油・液化天然ガス(LNG)価格の高騰が世界的なインフレを招く危険性を指摘し、「世界中に与える影響は非常に大きい」と強い懸念を表明した。為替の動向については、「日銀が利上げ、米国が利下げを行うことで、為替が安定するのが最も望ましいが、現在は外的要因が強すぎる」と主張。中東での戦争の早期終結とホルムズ海峡の安全な航行確保が重要との見解を示した。中小企業の賃上げへの影響については、不確実性が高まる中で「様子見」の動きが広がる可能性に言及。「イラン情勢による影響が早期に収束することを願っている」と述べた。
小林会頭は、イラン情勢について、「ホルムズ海峡が封鎖されれば原油やLNGの供給に大きな影響が及ぶ」と指摘した。また、カタールのLNG拠点で生産が停止したことに触れ、「世界全体でエネルギー不足による価格高騰を招くことになり、経済への悪影響となるだろう」との見方を表明。「こうした状況下では、世界的なインフレになりやすく、スタグフレーション(不況下の物価高)に陥りかねない」と強い懸念を示した。
日本経済への影響については、エネルギー価格の上昇に加え、通貨の面で見られる「有事のドル買い」による円安が重なることを危惧し、「インフレと円安が同時に進めば、産業界にとって極めて厳しい状況になる」と強調。政府に対し、円安・インフレへの短期的対策と、防衛力強化を含む中長期的な安全保障体制の整備を求めた。
為替の動向については、「日銀が利上げ、米国が利下げを行うことで市場心理が変化し、為替が安定するのが最も望ましいが、現在はそれ以外の外的要因が強すぎる」と主張。「まず中東での戦争を早期に終結させ、ホルムズ海峡の安全な航行を確保することが重要」と述べた。
中小企業の賃上げへの影響については、「今回の事態により不確実性が高まり、企業心理として『(賃上げは)様子を見る』という動きになりかねない」と懸念を表明。「金利上昇や円安によるインフレが進めば、企業は防衛反応として賃上げを控える可能性が考えられる」と指摘した。
一方で、「各地の実体経済においては人手不足が最も大きなポイントである」との考えを示し、「今後は人手不足の深刻さや企業の防衛的心理などがどのように折り合うかが焦点になる」と分析するとともに、「全体として様子見の動きが広がる可能性があるため、今年の春闘は妥結までに時間を要する可能性がある」との見方を強調した。
