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コラム石垣 2018年7月11日号 中村恒夫

来春新卒の大学生による就職活動は早くも終盤戦を迎えつつある。数社から内定を獲得し、辞退理由をどうすべきか苦慮する学生も少なくないようだ。一方で、新卒後3年以内の離職率は依然として高い。変わったのは「今の職場が不満だから」という消極的な理由から「より良い待遇、やりがいを求めて」といった前向きな考えの若者が増えている点だ。

▼「転職癖がついている人は採用しにくいとする見方は時代に合わない」と話すのは技術力の高さで有名な中堅企業の経営者。かつての早期離職組は、本人が飽きっぽい性格であったり、入社先がいわゆるブラック企業だったりするケースが多かった。追い込まれる形で退職すれば、好条件の転職先を見つけるのも容易ではない。しかし、人手不足を背景に、待遇がアップする企業に転職するケースが珍しくなくなっている。先の経営者も「以前では考えられなかった有能な人材が、転職を希望してきている」と指摘する。

▼若年層が先行する形で、今や本当の意味での転職市場が形成されてきていると言っていい。多くの人事担当者は若手の離職率低下を目標に掲げて対応に苦しんでいるが、むしろ発想の転換が必要ではないか。「退職した若手の後任を新卒で穴埋めする」のではなく、既卒者を含めて幅広い視点から採用活動をすべきだろう。他企業で働いた経験のある従業員を受け入れれば、組織に良い刺激を与えるはずだ。

▼ただ以前の従業員が持っていた愛社精神を彼らに期待してはいけない。「会社のため」「生涯働くため」という気持ちは希薄だ。ハラスメントや法律に触れそうな行為に直面すれば、当局に通報することをためらわないと覚悟しておく必要がある。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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