石川県輪島市
船乗りに正確な地図と羅針盤が必要なように、地域づくりに取り組むためには客観的なデータが欠かせない。今回は、朝ドラ『まれ』の舞台となった奥能登地方の中心都市である輪島市について、国が提供するRESAS(地域経済分析システム)などのデータを活用しながら、まちの羅針盤(地域づくりの方向性)を検討したい。
誘客力がある地域
地域経済活性化のポイントは、「生産↓分配↓支出」と流れる地域経済循環を太く強くすることであるが、そのためには、まず、どの段階で域外から所得が流入/流出しているのかを、確認する必要がある。
RESASに搭載されている地域経済循環図(2013年)を見ると、輪島市は、地方交付税交付金などの財政移転(分配段階・その他所得)、観光消費(支出段階・民間消費額)によって域外から所得を稼ぐ一方、域際収支(支出段階・その他支出)で大幅に所得が流出している。これは、多くの観光客が輪島市で消費しているが、その商品・サービスは域外からの移輸入品であるため、当地には所得が残りにくい構造であることを示している。
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