ご当地バーガーで世界へ挑戦 みんなが笑顔になれる食づくりを
株式会社グラディア 代表取締役 森本 麻紀(もりもと・まき)
見た目の豪快さが人気に 地元の具材にこだわり
高知のご当地バーガー「龍馬バーガー」を看板メニューに、カフェを始めて11年目を迎えます。もとは夫と自動車販売店を経営していましたが、移転を機に「女性も気軽に自動車の相談に来てほしい」と敷地にカフェを併設。それが飲食業に魅了されたきっかけでした。
自動車販売店の社名は「ゴーイング」。19歳で結婚したとき、義父が営む自動車販売店が倒産し、私たち夫婦も多額の借金を背負いました。幼い子どもたちを養うためにも起業するしかないと、夫婦二人三脚で自動車販売店をスタート。社名には「後ろを振り返らず、前を向いてやっていくしかない」との思いが込められています。
自動車販売店が軌道に乗り始め、カフェを併設したとき看板メニューとして最初につくったのが、社名にちなんで強引に具を挟んだ「強引具(ゴーイング)バーガー」です。さらにそれだけではメジャーになれないと、ハンバーグに高知県産のカツオフレークや野菜をたっぷり挟んだ「龍馬バーガー」をつくり、これが人気となりました。やがて子どもたちも手が離れ始めたころ、高知市内にカフェ出店の話があり、「大好きな飲食業をもっと発展させてみたら」と夫に後押しされて当社グラディアを設立。社長に就任し、昼はカフェ、夜はバーになるダイニング「5019(ゴーイング)プレミアムファクトリー」をオープンしました。
香港へ進出して成功
2017年に香港に出店し、成功したことで、最近はよく講演会に呼ばれます。地方の飲食店は地元で営業するのが常ですが、繁盛し出すと当然のように東京、大阪など主要都市へ進出を目指します。しかし、私は大都市に出店しても埋もれるだけと考え、あえて世界のブルーオーシャンを目指して香港に海外1号店を出店しました。
香港は日本からのアクセスも良く、外国人が起業しやすい土壌があります。投資家が納得すれば資金を調達できるため、チャンスをつかもうとプレゼンを重ねました。香港で成功したポイントはその立地です。「香港一のフォトスポット」といわれるウォールアートの隣に出店し、巨大な和牛のハンバーガーは写真映えするとSNSなどで話題になりました。高知本店で1個900円の「龍馬バーガー」が物価の高い香港では2千円ほどするにもかかわらず飛ぶように売れるのは、こうしたSNS戦略が功を奏したといえます。18年に、香港政府主催の「香港フォーラム」で、香港でのビジネスに成功した外国人を称える「サクセスストーリーアワード」を受賞し、その翌年、香港2号店を出店しました。
最近は、デモや新型コロナウイルス感染症拡大の影響による景気の低迷が続き業績は苦しいものとなりましたが、過去にも数々の経済危機を乗り越えてきた香港政府や人の強さに支えられ、現在3号店開店に向けまい進しています。今後は、世界中にご当地バーガーをつくりたい。その土地土地の食材を生かし、みんなが笑顔になれる食づくりができたら幸せです。
会社データ
社名:株式会社グラディア
所在地:高知県高知市帯屋町1-10-21
電話:088-872-5019
創業:2009年
事業概要:飲食業(飲食業、飲食コンサルタント業、加工品事業)
※月刊石垣2020年5月号に掲載された記事です。
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