看護師・保健師による中小企業に特化した「健康経営コンサルタントサービス」を提供
一般社団法人ヘルスケアマネジメント協会 代表理事 振本 恵子(ふりもと・けいこ)
健康で経営を支える仕組みづくりの重要性を感じて
私は、以前地元の総合病院で救急現場の看護師として勤務していました。そこで働き盛りの世代の方が突然亡くなる姿を数多く目にし、命の危険に至る前に何とか予防できないかを真剣に考えるようになりました。そして保健学を通じて健康を守る最新の知識を得ようと、2015年に県立広島大学大学院の保健福祉学科へ社会人入学しました。
大学院での勉強を進めていくと同時に、企業における健康管理の仕組みを実践すべく大手情報通信企業に産業看護師として勤務しました。仕事をしていく中で、大手企業は健康管理に関するノウハウが充実している一方で、多くの中小規模企業ではノウハウが不足していることに気が付きました。父が自営業者であったため、中小企業の状況はよく理解できました。そこで、大学院在学中の16年11月に看護師時代の仲間や企業経営経験者と共に、中小企業に特化した健康管理のコンサルタントに注力する当協会を設立しました。
企業を元気にしていきたい
当協会では、健康経営に取り組みたい企業に対して「健康経営コンサルタントサービス」を提供しています。健康のプロである看護師や保健師を「健康経営コンサルタント」として派遣し、労働衛生に基づくプログラムの策定から教育研修の実施、担当者への助言・指導、利用企業の従業員の健康維持と持続可能な企業経営の支援を行います。また、健康に関する専門家をはじめ、弁護士や保険会社という多業種間のネットワークを構築し、多方面からのアプローチで企業のニーズに合わせたサービス提供ができるのが強みです。
19年からはコンサルタントの質を確保するため、「健康経営コンサル塾」を開始し、企業経営者や社会保険労務士などの講師陣をそろえ、コンサルティング技能を体系的に教えています。近年はメンタル疾患で休職する従業員の対応についての相談が増えているため、当協会は、従業員に寄り添って、従業員自身による治す努力を支援しています。また、医療機関とのネットワークを活用して、セカンドオピニオンや治療方法の紹介も行います。産業医との連携で、復職後の業務プログラムを作成した結果、復職率が100%となった企業もあります。新入社員や家族にとっても、支援する看護師が会社にいることが安心感となり、「あなたがいて助かった」という言葉を掛けていただくことで、私自身のやりがいにもつながっています。感染対策が急務になっている現在、健康管理を強化する中小企業が増え、顧問契約件数は増加傾向です。
今後は、看護師・保健師による100人規模の健康経営コンサルタント集団をつくり、より多くの中小企業で働く皆さまを元気にしていくことを目標としています。私は「働くことがより健康になる」そんな社会の実現を目指して、皆さまに貢献したいと考えています。
法人データ
法人名:一般社団法人ヘルスケアマネジメント協会
所在地:広島市中区榎町2-15 榎町ビュロー5F
電話:082-297-7756
創業:2016年
事業概要:労働衛生におけるメンタルヘルス対策に関するコンサルティング関連事業
※月刊石垣2020年6月号に掲載された記事です。
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