日本商工会議所/健康保険組合連合会/全国健康保険協会/日本経済団体連合会/日本労働組合総連合会
現在、政府は、財政健全化計画を含む骨太方針の策定に向けた議論を進めている。その中で、社会保障費の抑制、とりわけ医療、介護に掛かる費用の適正化・効率化などの必要性が強く打ち出されている。
被用者保険関係5団体は、現状、以下のような共通する問題意識を持っており、今後、政府におかれては、適切な方向性を導き出されることを強く要望する。
○持続可能な制度を構築していくためにも、医療、介護の費用の適正化・効率化に取り組むことは不可欠である。後発医薬品のさらなる使用促進に向けた実効性ある取り組みを一層推進するとともに、医療・介護のICT化などによる検査や投薬などの無駄の排除、不正請求の一掃、医療の標準化・診療報酬の包括化の推進、医療提供体制の効率化、医療費や要介護認定率の地域差の是正、医薬品や医療機器の保険適用などに関わる費用対効果評価の導入などについても検討すべきである。また、改革を進めるなかで、公平性の観点から、高齢者を一律に弱者と捉えることなく、負担能力に着目した患者や介護サービス利用者の負担の在り方についても検討する必要がある。
○今般の法改正により、後期高齢者支援金の全面総報酬割が導入されたが、それによって生じた国庫補助削減分は、国民健康保険の財政対策に活用され、被用者保険が国の財政責任を「肩代わり」させられることとなった。この上さらに、財源捻出策として、介護納付金や前期高齢者納付金に総報酬割を導入することは到底容認できるものではない。今後も増大していく現役世代の拠出金を抑制するための施策を構ずるよう求める。
○なお、政府内には、負担能力に応じた公平な負担を実現するために、被用者保険を統合すべきといった指摘も一部にあるようだが、これは保険者機能の低下を招き、結果として医療費、ひいては国全体の負担を拡大させるものである。今後とも、設立の歴史的経緯や役割を踏まえ、制度の持続可能性を高める観点から、個々の保険者が、事業主との協力のもと、それぞれの職域の連帯を基礎に、保険者機能を発揮できる制度体系を維持すべきである。(6月5日)
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