木材製品で培ったノウハウで新商品を開発 〜不燃造作材の品質と短納期を追究〜
有限会社クレスコ 代表取締役 森 知子
前職の経験を生かし木製品製造会社を創業
私は大学の建築学科を卒業後、ゼネコンを経てハウスメーカーで住宅設計に従事してきました。その後、住宅の建具などを製造する工場で木製品の企画開発製造に携わった経験を生かし、平成17年に造作材の製造販売を主とした「有限会社クレスコ」を創業しました。
造作材とは建築内部の仕上げ材、取り付け材の総称です。天井・床・棚・階段のほか、和室向けの鴨居・敷居・長押や洋室向けのドア枠などに使われ、化粧材ともいわれています。創業当初は、かつて勤めていた会社での取引先からの受注が主で、木製建具枠・サッシ枠・巾木などの製造販売を行ってきました。平成24年からは創業当初より培った技術を生かすことで収納扉製造にも進出しました。
現在、当社は新築マンション向け商品(受注物件ごとに全て特注品)を多く手掛けています。そのため品質と短納期対応が求められますが、経験や技術を生かし発注先から求められるさまざまな要求にもきめ細かい対応を心がけています。このノウハウを生かし、今後は病院や福祉施設に対応した商品の製造販売で売り上げを伸ばしたいと考えています。
不燃内装材全般の製造を目指す
当社の主力商品である造作材は、マンション関係業者に好評です。特に物件対応(特注品)では、品質や短納期対応に自信があり、これまで売り上げを伸ばしてきました。ただ、マンション関連は消費増税による駆け込み需要増があり、その後の落ち込みが不安でした。
そこで、今後さらなる需要が期待される施設関連に注目。高齢者施設などに力を入れている取引先もあり、今まで使わなかった材料や加工法での需要の増加が期待できるためです。当社でも新商品の開発・生産の必要性を感じています。これからは高齢者施設関連商品を製造するため、製造ラインの見直しと増設を検討しています。
最近、住宅やマンション、また高齢者向け施設の新築・改築などには不燃規制のかかる建物が多くなっています。それは阪神淡路大震災や東日本大震災において、地震による火災でたくさんの人々が亡くなったためです。特に不燃規制のかかる高齢者向け施設では、造作材も不燃または準不燃であることが必要です。そこで当社では、不燃材に特化した造作材全般の新商品を開発・製造しました。芯材については、内装制限の関係で、通常使用している合板またはダイライト(不燃材として従来から壁の下地材に使用されている商品)を使用します。
当社では、木製品で培った技術を生かし、ダイライトをVカット工法により加工できるようにしました。この工法を取り入れることで、現在、木製で対応しているものと同等の加工ができ、小ロット対応が可能になります。納期についても他の製品同様に短納期対応が可能です。ダイライトの加工には専用刃物や熟練した技術が必要です。今後は、今まで培ったノウハウを生かし、造作材だけではなく、不燃内装材全般(建具・壁材)の製造を目指していきたいです。
会社データ
社名:有限会社クレスコ
所在地:徳島県阿南市
創業:平成17年
事業概要:木製品製造
※月刊石垣2015年9月号に掲載された記事です。
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