当社は大正11年に祖父が創業しました。当時、靴下製造は最先端の産業で、曽祖父が営んでいた河内木綿の産元からの挑戦でした。戦中・戦後の苦難、高度成長期に当時の新素材「ナイロン」の活用に乗り遅れるなど、苦労の連続。しかし、それにめげることなく、ポリウレタン系合成繊維の一つであるスパンデックス入り靴下を開発するなど、技術・ものづくりの視点で「開発」にずっと力を入れてきました。
生産のグローバル化が進む中でも、「開発に生きる」をモットーに価格ではなく、これまでも技術開発に挑み、品質で勝負してきました。現在も国内自社一貫工程と長年培ってきた独自技術を生かし、高機能・高付加価値靴下の開発で世界一を目指しています。また、当社は知識集約型産業として、国内だけでなく、国外でも特許などの工業所有権を取得しています。
会社では、「現場」「現物」を大切にすることを常に心掛けており、社員にも言い続けています。地に足の着いた解決策は、実際に「現場」で課題に当たらなければ出せないと思っていますし、「現物」を手にすることによって初めて思わぬアイデアが浮かんでくることがあるのです。
私は、これまでいろいろなご縁で出会った方々を通じ、多くのことを学んできました。たくさんの書物よりも、立派な考え方や生き方をされている方との近しいお付き合いから学ぶものの方が大きいと実感しています。また、これまでで最も思い出深いのは、高校のバレーボール部での先輩や後輩、チームメートとの3年間です。リーグでは一番下の7部から、毎回優勝を続けて、最後には4部リーグまで進みました。根性路線が全盛の時代でしたが、練習時間を短くし、効率的な練習法を導入。チームとしての成長を実感しながら部を運営してきました。また、このとき集中して物事に取り組むことの大切さを学びました。「集中」は全ての基本であると思っています。
私たちを取り巻く環境は常に変化しています。これまでの10年を振り返ってみても、その変化は目を見張るものがあります。歴史的に見ても変化のスピードは急加速しているのではないでしょうか。ですからこれからの10年の変化はこれまでとは比べ物にならないほど大きいに違いありません。事業も地域活性化も、変化に果敢に挑戦することによってのみ成し遂げられるものと確信しています。
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