情熱ぴーぷる 第12回女性起業家大賞・グロース部門 奨励賞

現場から出たアイデアをカタチにする

株式会社メディディア 医療デザイン研究所 代表取締役 山本 典子

看護師の視点を生かし、医療・看護・介護用品の開発に取り組み新しい医療サービスを提供

株式会社メディディア 医療デザイン研究所 代表取締役 山本 典子

起業のヒントは仕事中の気付き

看護師として働く中、サージカルテープの側面に付くホコリが気になったことが起業のきっかけです。誰かケースをつくってくれないかと小児科部長に相談したところ、商工会議所を教えてもらい、早速連絡を取りました。紹介してもらったインキュベーションマネジャーに「自分でつくってみては?」と勧められましたが、ビジネスを知らないし、ましてや起業、会社経営、デザイン、設計、製造、販売など全く分かりませんでした。しかし、それが功を奏したのか、「知っていたら決して踏み込まなかっただろう」といつも協力してくれていた夫は言います。

看護師の仕事をしながら創業塾を受講し、商工会議所のビジネスプランコンテストでグランプリを獲得。中小企業基盤整備機構のベンチャー支援事業にも採択され、助成金を活用して会社を設立しました。書類の作成や手続きまですべて自分で行いました。

自宅で製品設計を始めるも、いざつくるとなると「カッター機能が欲しい、手を傷つけない、勝手に開閉しない……」など、機能面をカタチにするのは非常に難しく、意匠や特許などに触れないようにするのも簡単ではありませんでした。

3Dデータを基に県工業技術センターで試作を繰り返しましたが、実績の無い小さな会社の金型製作を引き受けてくれる会社を見つけるのには苦労しました。広告費用もない弊社は医療系出版社にメールで連絡。すると、専門誌に見開き2ページで掲載され、それを見た他の出版社から看護通販会社に紹介させてほしいと連絡があり、意外なところから販路を得ることができたのです。販売経験のない会社を受け入れ、商品を信じて販売してくださった方々に心から感謝しています。

家族やお客の声を支えに奮闘

看護師の勤務もあり、仕事を終え自宅に帰ると、受注や納品書の作成、商品の包装や発送など、慣れない仕事に毎日大忙しでした。それでも充実していて、家族の理解や協力もあって乗り越えられました。

小さな会社が商品を売っていくには類似品の発生、クレームの問題が無いように防衛策も必要です。意匠・特許登録のほか、「グッドデザイン賞」に応募しました。受賞することで第三者がオリジナルであることを決定付けてくれたのです。

「これが欲しかった」と医療従事者に喜んでいただけるときは、開業してよかったと感じますね。抗がん剤治療を受ける子どもたちの声から開発した「div stand フィール」は、温かみのある木とカラーを使った北欧デザインの点滴台で、患者さまだけでなく医療従事者にも安心・安全で使いやすいデザインに仕上げました。

今後は、現場目線の商品開発の実績を積み重ねて、医療の環境がホスピタリティー溢れる空間になり、人々の幸せにつながるような仕事を続けていきたいと思います。

会社データ

社名:株式会社メディディア 医療デザイン研究所

所在地:福井県鯖江市

創業:平成18年

事業概要:医療・看護・介護用品の研究開発製造販売、医療コンサルティング

※月刊石垣2014年6月号に掲載された記事です。

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