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コラム石垣 2015年1月21日号 中山文麿

バブル崩壊後、日本の経済力は驚くほど落ちてしまった。国の国際競争力を示す円の実質実効為替レートは42年ぶりの低水準だ。

▼ここ四半世紀の日中の粗鋼生産量を見ても、中国のそれは日本の半分程度だったが今や7倍になった。米国とドイツの株価指数も6倍になっているのに日本は半分にも達しない。

▼また、わが国の労働生産性もOECDの調査によれば先進7か国中19年連続最下位である。日本人の働き方や労働慣行にどこか問題があるのだろうか。

▼日本の会社員は長時間会社に残って仕事をしていると上司の覚えが良い。また、新入社員は入った会社のノウハウは身につけていくが、一般社会で通用するスキルが身につかない。本来、会社員はどんな業界や会社でも通用する普遍的な能力を身につけて日本経済の高度化とともに成長分野に移っていくことが望ましい。

▼日本政府の最近の税収は低成長のために1990年の額を一度も超えたことがない。今後の財政再建の財源確保のためにも、ある程度の経済成長は必要だ。

▼そのために政府も、政労使会議も活用しながら日本経済のダイナミズムやイノベーションを起こすために必要な雇用政策、岩盤規制、法人税、TPP、地方創生、農業、教育改革などの環境整備を進めてもらいたい。

▼一方、最終的に日本経済を再生するのは民間の創意工夫であり、とりわけ中堅・中小企業の役割は大きい。国民一人ひとりが危機感を共有して、お任せでなく自分の問題として仕事を見直したり、経済団体やエコノミスト、経済学者は経済再建のための施策を提言するなど、国民的運動を起こしたい。失われた10年が20年になり、このまま日本経済が衰退していって良いのか。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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