事例2 県内初の優良法人として担当エリアで際立つ存在に
トレンディ茨城(茨城県水戸市)
「安全・安心 みらい運幸」を企業理念に掲げる「トレンディ茨城」は、ヤクルト商品の物流を主軸にさまざまな事業を展開している。茨城県内でも健康経営にいち早く取り組み、創立40周年を迎えた平成29年には県内でどこよりも早く健康経営優良法人に認定された。社員の健康促進とともに、担当エリアでの存在感アップを実現している。
企業理念の具現化に向け安全・安心を推進
茨城県水戸市の北部に位置する谷津町のなかで、物流センターが集中する一角に「トレンディ茨城」はある。水戸ヤクルト販売のグループ企業として昭和53年に設立し、物流事業を中心に物販、ベンダー(自動販売機の取り扱い)、保険とさまざまな事業を展開している。
「元々は『キャップロール』という健康敷布団を扱っており、社名も『キャップロールひたち』でした。今の社名になったのは平成元年からで、それを境に物流事業が主力になっていきました」
七代目代表取締役社長の伊藤忠士さんは、社名の「トレンディ」には、常に地域の新しいニーズを掘り起こし、創り上げていく企業ポリシーがあると熱く語る。それを裏付けるように、物流事業も商品の運搬搬入だけにとどまらず、温度や衛生管理を徹底した倉庫管理業務にも力を入れている。ヤクルト商品は販売エリアが決まっているため、販路拡大よりエリア内のニーズを深く多角的につかむという事業戦略だ。
さらに平成28年には国土交通省が促進する安全性優良事業所の認定証を取得し、翌年の29年には「健康経営優良法人2017」に認定されるなど、企業理念の「安全・安心 みらい運幸」の具現化に向けた行動も活発だ。
「29年に創立40周年を迎えました。それを機に掲げた企業理念です。28年2月には理念を推進するべく健康宣言をしました。そうした流れから協会けんぽ茨城支部より健康経営優良法人の申請をしてみてはどうかと提案され、今回の認定に至ったわけです」と伊藤さんは語る。法人申請に奔走した管理部総務サポート部長の谷萩寛子さんは言う。
「健康宣言の内容が、優良法人の申請基準を十分満たしていましたし、協会けんぽのフォローもあって手続きはスムーズでした。ですので、今回認定されたのが茨城県では当社1社だけと分かったときはとても驚きました」
認定式を回想し、伊藤さん、谷萩さんは笑顔を見せた。
うがい、手洗い、ヤクルト飲用で風邪対策
健康宣言から健康経営へ。そのスムーズなステップアップを可能にした素地はもちろんあった。健康サポートとして朝のラジオ体操は20年前から実施しており、年1回の健康診断は受診率100%を達成。さらに乳製品を扱う部門の社員を対象にした月1回の検便検査も回収率は100%だ。
「健康診断は病気の早期発見につながり、生活習慣病の改善に向けて協会けんぽからの保健指導を受けられます。結果的に元気で長く働ける人材確保、育成になるわけです」と伊藤さん。過去に要精密検査となった社員に対し、会社から早めの受診を促すことで、事なきを得たことがあったという。仕事優先で自身の健康を二の次にし、受診を理由にした有給休暇や半日休暇を取りづらいという雰囲気とは、同社は無縁のようだ。
また同社ならではのセルフケアサポートもある。1日1本のヤクルトの飲用だ。
「インフルエンザで会社を休む社員が多かった3年前に始めました。11〜2月の風邪やインフルエンザがはやる時期、マスク配布と併せた独自の予防策です。うがい、手洗い、ヤクルト1本が寒い時期の当社の合言葉です」と谷萩さんは語る。ヤクルトのエビデンスが証明されていることも導入の決め手になったという。
年間通じて全トラック車内に消毒液を設置し、たばこ受動喫煙を防止するべく禁煙も徹底している。社屋だけでなく敷地内、トラック車内も禁煙とし、茨城県禁煙認証施設になっているほどだ。禁煙に対する伊藤さんの意見はこうだ。
「私も15年前にたばこを辞めました。社員が一人禁煙すれば、その家族の受動禁煙を防ぐことにもつながります。会社の取り組みが社員の家族、そして地域へと広がる。そういう効果があるのも健康経営の魅力だと感じています」
健康経営は目に見える大きな効果がある
健康経営は社員の健康促進だけではなく、業績にもよい影響を与えているようだ。
「3年前に比べて病欠する社員が減り、生産効率も上がっています。中でも物流部門の業績は伸びており、健康経営に手応えを感じています」と伊藤さんは顔をほころばせる。
さらに健康経営に注力するべく、今年から2年に1回ペースで女性社員対象に乳がん検診も実施していく予定。全国平均を下回る有給休暇消化率や休職者の待遇の向上も検討中だ。
「休職者は今のところいませんが、休職して1年半で終わる休職手当の延長、または何かしらのプラスアルファが将来に備えてできないかとも考えています」とワーク・ライフ・バランスの一環として目を向ける。
「社員教育も5年ほど前から外部講師を招いて年10回開講しています。月1回、終礼時に3分間スピーチをして自己開示する場をつくるなど、自己表現や社員交流がしやすい職場の環境づくりにも取り組んでいます。そのかいあって、社員のマナーや責任感、向上心も高まり、笑い声が多く明るい職場になってきています。笑うことは健康にもつながりますから、1日1回は笑いましょうと公言しているほどです」と伊藤さん。
永年勤続表彰の副賞に人間ドッグの費用負担も念頭に入れているそうで、すでに水戸ヤクルト販売が2年前から始めたことで現実味を帯びてきている。また、同社が健康経営優良法人になったことでグループ会社内の健康経営への関心も上々だという。健康経営が広まるほど、率先して取り組んだ
会社データ
社名:株式会社トレンディ茨城
所在地:茨城県水戸市谷津町1-30
電話:029-254-6620
HP:https://mito-yakult.co.jp/trendy-i/
代表者:伊藤忠士 代表取締役社長
従業員:37人同社へ注がれる視線は熱くなっていきそうだ。
※月刊石垣2018年1月号に掲載された記事です。
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