日商 Assist Biz

更新

テーマ別企業事例 社員も会社も元気になる「健康経営」宣言!

事例1 北海道の健康的なイメージを生かし農業と食を結ぶパイプの役割を果たす

江別製粉(北海道江別市)

江別市は有数の小麦の産地。北海道産の小麦にはハルユタカのほかに、春よ恋、はるきらり、きたほなみ、ゆめちから、キタノカオリなどの品種がある

北海道有数の稲作地帯である石狩平野の中央にある江別市で、江別製粉は昭和23年に創業した。戦後、アメリカから輸入されてきた配給用の小麦を地元の人たちのために製粉する事業から始め、今では北海道産の小麦を中心に、製粉した小麦粉を全国各地に販売している。冬は雪に覆われる北の大地で戦う同社が社員の健康を重視した健康経営を推進し、成功している理由とは――。

福利厚生の一環としてスポーツジムの法人会員に

江別市では米からの転作により小麦の生産が増えていたが、国産小麦は品質的にまだ外国産に劣っていた。しかし、30年ほど前にハルユタカという品種の小麦が北海道で誕生し、これまでの国産小麦にはない味の良さがパンづくりに適していた。江別製粉ではこの新しい国産小麦粉を世に出していこうと、会社を挙げて取り組んでいった。

同社社長の安孫子俊之さんは、当時のことをこう振り返る。「先代社長だった私の父が、ハルユタカを他社との違いを出す切り札として、少しずつ販売を始めました。製粉メーカーというのはどこも同じような原料で似たような粉をつくっています。そこでうちは100%北海道産小麦粉の開発を進めていったのです」

そして、消費者の健康に直結する食品を生産・販売する同社が、社員の健康を重視する健康経営を始めたのは2年前のことだった。

「きっかけは、市内の異業種交流会でスポーツジムの方と知り合い、法人会員のシステムを知ったことからでした。当時、私はダイエットのためにランニングを始めていたのですが、冬は雪が多くて外では走れない。市営体育館のジムは料金が安いけど週末は混んでいて不便だったので、会社にランニングマシンを置いて、社員全員で使えるようにしようかなどと考えていたところでした。そこで、会社がそのスポーツジムの法人会員となり、福利厚生として社員とその家族も使えるようにしました」 そこから、同社の健康経営に向けた動きが始まった。

社員が元気で働ける会社を目指す健康経営を宣言

「江別に民間のスポーツジムは一つしかなく、地元の人たちはジムで運動するという意識があまりない。そこで、会社が費用を負担するということがきっかけになって誰かがジムに行くようになり、それにつられて他の社員も行くようになる。それが少しずつ社内で浸透していったことは、このまちでは珍しいことだと思います」と安孫子さんは言う。法人会員になってからは、社員63人のうち、常にジムに通うようになったのは15人ほどで、女性の方が多いという。

また社員の運動不足解消という目的以外に意外な効用もあったと安孫子さんは言う。「私がジムでトレーニングをしていると、会社の女性社員二人が連れ立ってジムのヨガ教室にいるのが見えた。うちは社員ほぼ全員が車通勤なので、帰りに社員同士で居酒屋で飲んでいくとか、女性同士で食事に行くということがない。その代わりにジムが会社以外での社員同士の交流の場になっていたんです」 またジム以外にも、社内には以前から野球部、ゴルフ部、登山部があり、活動費用を会社が負担している。特に野球部の活動が盛んで、草野球の道大会進出を目指して、地方予選に毎年挑んでいる。 「健康診断も100%実施しています。その結果を受けて、社員には保健師さんの指導を受けさせています。また年1回、保健師さんによる講義も会社で行っています。そして平成28年には、社員が元気で働ける会社を目指す健康経営に取り組むことを宣言し、『健康経営優良法人』にも応募して29年2月に認定を受けました」

『健康経営優良法人』認定制度とは、経済産業省の主導により、優良な健康経営を行っている企業などの法人を表彰し、その法人が社会的に評価を受けることを目指すもので、毎年行われている。この認定を受けたことにより、会社にある変化が表れたという。

会社の認知度が上がり社員の意識にも変化

「29年春から道内で流れている生命保険会社のCMで、道内の健康経営優良法人を紹介していて、うちも取り上げられました。すると、多くのお客さまがそれを見ていて、うちの営業担当社員が行くと必ずその話をする。するとうちの社員も、自分の会社は健康経営をしているのだと意識するようになりました。そんな意識変化が一番大きいですね。結果的に、社員自身が自分の健康にもっと気を付けるようになってくれたらと期待しています」と安孫子さんは目を輝かせる。

法人会員の経費や部活動への費用負担など、健康経営にはそれなりの費用もかかる。でも、それ以上の効果があると安孫子さんは胸を張る。

「これで社員の健康が劇的に改善されるわけではありませんが、社員には健康でいてもらいたいと会社が願っていることを知ってもらい、それにより働きがいを感じてくれたらうれしい。また、健康経営優良法人に認定されたことでテレビのCMに出たり、取材を受けたりして会社の認知度が上がり、この人材難の中で、うちのような田舎にある会社でも就職先として選ばれるようになるかもしれません」 またビジネスの上でも、その効果を期待しているという。

「道外のお客さまは、北海道に対する健康的なイメージをうちの製品に重ね合わせて使っていただいていると思います。そのイメージを崩さないためにも、自分たちが健康でいることが重要ですし、お客さまとの対応でもいい印象を持っていただくことができ、また新たな商売につながると考えています。私たちの仕事は飲食に関係することなので、自分たちが健康的に働くことで、北海道の農業と食を結ぶパイプの役割を果たしていきたいですね」

同社はまず社員の健康を一番に考え、それをビジネスに結びつけていく。健康経営の理想的な形の一つといえるだろう。

会社データ

社名:江別製粉株式会社

所在地:北海道江別市緑町東3-91

電話:011-383-2311

HP:http://haruyutaka.com/

代表者:安孫子俊之 代表取締役社長

従業員:63人

※月刊石垣2018年1月号に掲載された記事です。

次の記事

ガチャマンラボ株式会社/喜多ハウジング株式会社/株式会社イムラ/岐阜商工会議所

ブランド野菜やブランド肉など農業の分野では当たり前になった感のある地域ブランドだが、ものづくりの分野では地域や産地名を前面に出している企業はまだ多くない。そこで、地…

前の記事

株式会社門間箪笥店/株式会社やます/株式会社大津屋/株式会社たねや

大型ショッピングモールや全国チェーン店に負けずに地域で独自の地位を築いている小売店がある。なぜ人が集まるのか? 何を売っているのか? なぜ売れるのか? 誰もが一度は…

関連記事

西光エンジニアリング株式会社

BCP(事業存続計画)本来の意味は、企業を存続させて、雇用と顧客を守るということである。自然災害の多いわが国の場合は、BCPについて、災害から社員や社屋・施設を守る防災計…

釧路駅西商店街振興組合/中町商店街振興組合

人口流出や郊外型の大型ショッピング施設などに押されて、苦境に追い込まれている地方の商店街も多い。しかし、そのまちの特色や地域の名産を生かし、見事に復活した商店街もあ…

株式会社WORK SMILE LABO/株式会社岡部

日本をはじめ世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス禍によって、大小を問わず‶職場閉鎖〟の危機に見舞われた企業も多い。そこで、職場内の感染予防とBCP(事業継続計画…