「輪島塗」や「朝市」、NHK連続テレビ小説「まれ」の舞台としても知られる石川県輪島市。人口約2万8千人のうち65歳以上の高齢者が約43%を占めるという。同市は人口減少や少子高齢化、財政難などにより公共交通機関が衰退。高齢者や観光客の移動手段が必要とされてきた。この問題を解消するため、輪島商工会議所が中心となり、ゴルフ場で使用される電動カートを公道でも走行可能なカートに改良し、その導入を進めてきた。
輪島商工会議所は11月15日、電動カートの公道における自動走行実証実験の出発式を市内観光施設で行った。電動カートによる公道の自動走行は全国初という。同所では、平成26年から市内の観光施設などを電動カートで巡るコースを設定し、有人運転を開始。今回の実験は、29年4月以降の自動走行の本格実施に向けて行われたものだ。電動カートは4人乗りで、ゴルフカートにミラーや方向指示器などの必要な装備やシステムをつけて改良した。軽自動車の「ナンバー」が交付されている。
現行の道路交通法では無人運転は認められていないため、運転者が乗り込む必要があるが、発車ボタンを押すと道路に埋設された電磁誘導線上を自動で走行する。最高速度は時速12Km。狭い道路や曲り角では自動で速度調整が行われ、方向指示器も自動で作動する。また道路上に障害物がある場合は有人運転に切り替えることができ、その後自動走行に戻すことができる。
同所の里谷光弘会頭は「公共交通機関が少なく引きこもりがちの高齢者や、当地に来られた観光客の足として商店街での買い物などにぜひ活用してもらいたい。交通が便利になると人も集まるので、中心市街地の活性化にもつながる」と話した。
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