今月は、山陰の三絵絣(さんえがすり)の一つに数えられている、鳥取県弓ヶ浜半島の弓浜絣をご紹介します。
江戸時代前期に栽培が始まったとされる伯州綿は、繊維が太く弾力性に富んだ良質な綿として知られ、弓ヶ浜半島の特産品でした。この伯州綿を原料としてつくられたのが弓浜絣です。最大の特徴でもある繊細かつ大胆な絵柄は、横糸の絵柄になる部分を糸でくくって先に染め、平織りにすることで描き出しています。手紡ぎの綿で織られた温かみのある風合いは人々に愛され、普段使いの布として暮らしに取り入れられていきました。
海外の安価な木綿に押されて一時は衰退した伯州綿ですが、近年では地元の人の尽力により復興が進んでいます。それに伴い弓浜絣も伯州綿100%のものが復活しつつあります。
織元の一つ、南家織物(なんかおりもの)の南家敦美さんは、現代の暮らしや地域に根付く絣を目指して、伝統的な技法を守りながら、異業種とのコラボレーションにも精力的に取り組んでいます。
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