会社のマネジメントは、“ヒト・モノ・カネ”をコントロールすることと言われますが、私はそれを、ヒトの流れの『人流』、モノの流れの『物流』、カネの流れの『金流』、情報の流れの『情流』、そして時(とき)の流れの『時流』の五つに分けたいと思います。
“ヒト・モノ・カネ”について、しっかりやらないといけないことは分かっているのですが、今、経営者が身に付けるべきは、『情流』と『時流』の見極め方なのです。
日本がデフレを脱却できない理由は、私は労働基準法(以下、労基法)だと見ています。企業は、就労時間を少なくすることを厳しく指導され、残業や出張を減らしています。
“ゆとり世代”を一人前に育てるのに、どの会社も頭を抱えているにもかかわらず、残業はさせられないのです。またこれは本人たちに取り返しのつかないマイナスで、ある時期に没頭しないと、仕事の面白さや周囲との深い関わり、帰属意識を持つチャンスを失ってしまいます。転職率が高いのは、このせいでもあるのです。
『金流』で考えると、毎月5万~6万円残業代をもらっていた人が、残業を減らされて半分になってしまうと、年間30万円の収入を失います。昨年暮れのボーナスが増えたといっても10万円です。残業は30万円減っているので、プラスマイナス20万円の収入減です。
私のいた船井総研では、出張手当が1日6000円でしたので、15日間出張しているコンサルタントは9万円の手当をもらっていました。多くの場合、この出張手当は付き合いに使っていたのですが、出張が半分になると、年間100万円あった手当は半分。付き合いもままならなくなる訳です。
政府は、最低賃金が3%上がり、株価も上がって、景気は良くなっていると言いますが、一部のお金持ちは別として大半のサラリーマンは、多くの物やサービスで物価が上がっている中、絶対所得は下がっています。
明らかに労基法は、この10年間で厳しくなりました。その影響で生活費の『金流』が変わってしまったのです。働かせ方の変化、少子化で若者が採用できない、派遣的仕事が増えるといった『人流』も変わりました。
こういったこと全てが情報の流れ『情流』を読むことで分析できます。
現在のオリンピックやインバウンドに支えられた景気がどこまで続くのか、2021年からはどのように変化していくのか。米国に端を発する株の大暴落や米ドルの下落に警鐘を鳴らす経済学者は後を絶ちません。
予測の立たない時代だからこそ、『情流』にアンテナを立て、『時流』を読んでいくことが、経営者の大切な仕事だと私は考えています。
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