次(地)世代に伝えたい企業家精神「かめザニア」モデルが関西エリアで好展開
YEGは若き企業家集団として、また、次代への先導者として、次(地)世代にどんな背中を見せているのか。「体験」という共通キーワードの下、全国各地でさまざまな事業を展開しているが、その中の好事例を紹介する。進学などで都心に出た若者の多くは「地元に戻っても仕事がない」と語る。一方で、有効求人倍率が都心より高い地域も多い。若者の地元回帰を促すためにはどうすればよいのだろうか。平成28年度日本YEGスローガンの中にも入っている、「次(地)世代」とは、地域に根差した次世代という意味だ。YEGが次(地)世代にかっこいい大人の背中を見せ、地域に根差した事業や教育を展開していくことが、解決の糸口となる。
YEGの次(地)世代事業で「自分力」を養成
YEGが実施している次(地)世代育成事業には、「体験」という共通のキーワードがある。そして、代表的な次(地)世代育成事業として、ジュニアエコノミーカレッジ、ジュニアビジネスプランコンテストなどを実施している。 ジュニアエコノミーカレッジは、小学校5、6年生が1チーム5人で模擬株式会社を設立。計画、仕入れ、製造、販売、決算、納税までの一連のサイクル体験を通して、「自ら決めて行動できる人材」を育み、「自分力」を養成する。 また、ジュニアビジネスプランコンテストは、高校生を対象に、新しい商品やビジネスモデルを計画してもらい、プレゼンするコンテストだ。主催するYEGメンバーや企業が、プレゼンターに投票するとともに、商品化も検討する。コンテストで大賞を取ったビジネスプランには、クラウドファンディングを利用して資金を集め、高校生と地元企業が協力して商品化。その後、地域の土産店やYEGモールで販売を開始するといった成功例もある。高校生は自身で考えたビジネスプランを企業家などに評価されることで、企業家精神を学び、将来の仕事への扉を開くことにもつながる。
「かめザニア」をモデルに各地で未来を託す事業実施
YEG発祥の次(地)世代育成事業が発展しつつある。その中の一つ、亀岡YEG(京都府)による「かめザニア」は、子どもたちがYEGメンバーや商工会議所会員の20職種を体験できるものだ。平成27年度で3回目の開催を迎え、延べ参加者数は2000人を超えた。職種は決して特殊なものではなく、ケーキ屋さんやパン屋さん、大工さん、美容室など、身近な職業を体験できる。亀岡YEGの伊藤秀一会長は、かめザニアを始めたきっかけをこう話す。 「YEGは、多様な職種をもった若手経営者の集まり。メンバーの企業をPRできる場を創出するとともに、仕事に対する誇りを子どもたちに魅せることで、雇用と地域の発展につながればと思っています」 そして、第1回「かめザニア」開催時からその応援に駆け付けていた京都府内の各YEGは、「かめザニア」モデルを参考に、各地でご当地版の「かめザニア」を開始した。福知山YEGは「ふくザニア」、綾部YEGは「あやザニア」といった具合である。 さらに、伊藤会長は、かめザニアへの思いをこう語っている。 「亀岡YEGは、実行委員会を組んで『かめザニア』を開催している。さまざまな課題はあるが、次(地)世代へ地域の未来を託す事業であるため、継続していきたいと思っている。また、全国のYEGメンバーにももっと地域性を生かした形で、地域とそこに根差す企業が未来につながる事業を実施していってほしい」
「人手不足」という問題に正面から立ち向かう
日商が今年6月に発表した「人手不足等への対応に関する調査結果」によると、全体の半数以上の企業で人手が不足していると回答している。景気の先行きに不安がある中での「人手不足」という課題は、地元の仕事に「愛着」と「誇り」が持てるかどうかが解決の鍵となる。その思いを育て、教え、伝えることが、解決策となるのではないだろうか。
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