革新的な防災用ランジェリーセットを開発
株式会社ファンクション 代表取締役 本間 麻衣(ほんま・まい)
災害時の下着の問題に着目
2013年、当時小学5年生の娘が初めてブラジャーを使うことになったのをきっかけに、子ども用からそろうシックなランジェリーブランドを立ち上げました。徐々に販路を広げていきましたが、ファッション性を提案するより社会的意義のある事業を行いたいと考え、翌年、方向転換を決意。11年に発生した東日本大震災で、被災地における女性の下着の備えやその洗濯が問題になったことなどから、災害時の下着と洗濯の問題を解決する製品の開発を始めました。そして14年10月、現在販売している防災用下着セット「レスキューランジェリー」の原型となる下着と洗濯用バッグのセットを開発したのです。
レスキューランジェリーは、試行錯誤を重ねて17年10月に完成しました。その特徴は、下着は抗菌防臭効果のある竹を原料とした竹布を使い、ブラトップ型で着心地が良いこと、バッグは内側に防水加工を施し、水を運んだり洗濯したりできるだけでなく、その中で下着を干せること。洗い・すすぎが各1回で済み、どこへでも排水できる環境配慮型洗剤もセットしました。避難所などの集団生活でも人目を気にせず洗濯できます。
どこでも洗濯可能をうたい売れる防災グッズに
商品開発を始めて一番苦労したのは、洗濯用バッグの開発でした。どんな機能を付ければ災害時の集団生活に役立つのか、被災者の声を参考にしながら追求しました。15年に私の地元、茨城県常総市で大規模水害が発生したときは避難所に下着を送って支援。このとき現場から届いたリアルな声や東日本大震災の被災者の体験談などにヒントを探す中、花粉ガードカバー付きの洗濯角ハンガーが干すのに役立ったという話からバッグにマチを付け、内側と外側にパラシュートコードを配し、どこにでもつるして内側に洗濯物が干せる形状を完成。多方面で興味を持たれるようになりました。その後も熊本地震、九州北部豪雨による水害時などでは自ら現地に入って商品を届け、現場の声を集めてより良い商品づくりに努力しています。
防災グッズはすぐ必要なものではなく、高価だと手が出しにくいことから当初は販路開拓面でも苦労しました。そこで、どこでも洗濯ができることを強調し、旅行やアウトドア、非常時に役立つ「トラベル&エマージェンシーキット」として売り出しました。これが功を奏し、17年10月からビックカメラのトラベルコーナーで取り扱いが始まり、現在はヨドバシカメラやソフマップ楽天市場店、AmazonなどのECサイトでも販売中です。
今後は、17年に「ANAクリエイティブアワード」を受賞したレスキューランジェリーシリーズの男性用「レスキューガイズ」の展開にも力を入れていきます。男性用・女性用をそろえることで、被災者だけでなく現場の支援者側にも使用してもらえるのではと考えています。革新的な防災用下着セットとして全国、そして世界へも広げていきたいと思います。
会社データ
社名:株式会社ファンクション
所在地:東京都港区南青山2-14-4-302
電話:03-6434-9298
創業:2013年
事業概要:インナーウエアの企画・製造・販売
HP:http://fanction.amebaownd.com/
※月刊石垣2018年8月号に掲載された記事です。
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