日本商工会議所は4月19日、山本有二農林水産大臣との懇談会を都内で開催した。三村明夫会頭は、「わが国の農林水産業は、商工業との連携強化により、まだ十分に成長の余地がある」と指摘するとともに、各地商工会議所で農林水産団体との連携の動きが広がっている状況を説明。「今後は、農林水産業の現場の課題と、地域のものづくり企業が持つ技術やノウハウなどを結び付けることで農業の生産性向上を図っていくことも求められる」と述べ、引き続き商工会議所として積極的に農林水産事業者と連携していく考えを示した。
懇談会には日商から三村会頭はじめ、家次恒副会頭(神戸・会頭)、竹﨑克彦副会頭(高松・会頭)、礒山誠二副会頭(福岡・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、田辺隆一郎まちづくり・農林水産資源活用専門委員長(八王子・会頭)、気仙沼の菅原昭彦会頭、高知の青木章泰会頭ら11人、農林水産省からは、山本大臣はじめ、礒崎陽輔副大臣、齋藤健副大臣、細田健一大臣政務官ら幹部15人が出席した。
冒頭にあいさつした三村会頭は、「いかに域外の需要・消費・投資を取り込みつつ、地域内外での経済の好循環を生み出すかが地方創生の鍵」と強調。その重要な柱として農林水産業を挙げた。さらに、農業の成長産業化のためには、「生産性の向上や農地の集約化・大規模化が必要」と述べるとともに、勘に頼った農業から、データを活用した科学的な農業への転換を要望。気象データや地図データをデジタル化・標準化し、民間が活用できるよう一元的に提供することを求めた。
震災復興については、「福島第一原子力発電所の事故に伴う風評被害が長期化・複雑化する中、農林水産品の売り上げ低迷が続いており、地域経済に深刻な影響を及ぼしている」と指摘。国内外の風評対策、諸外国の輸入規制の解除に向けたさらなる働き掛けを要望した。
山本大臣は、農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加など、諸問題が生じている中、農業の成長産業化は喫緊の課題として、「農林水産業と食品加工業、食品製造業などが強固に連携して、相互に付加価値を高めていくことが必要」との考えを表明。マーケットを正確に分析した上で生産・輸出につなげるため、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が4月に立ち上げた農林水産物や食品の輸出をサポートする組織「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)」の積極的な活用を求めた。
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