今号は、地元で長く愛される和菓子店の後継者の事例をご紹介します。
東京都台東区に菓匠・東洋庵という和菓子店があります。創業は昭和7年。地元で老舗として愛されています。一方、三代目の平岡康弘さんには自店の将来に漠然とした不安がありました。経営環境の不透明感が増す中で、経営の舵取りに迷いが生じていたからです。
そこで昨年、販売担当の夫人・理紗さんとともに台東区が主催する「創業塾」に参加しました。本来、この研修会は新規創業希望者向けなのですが、ご夫妻は「ゼロから経営を学び直したい」と考えたのでした。二人の熱心な受講姿勢は講師を務めた私が見ても、とても印象的でした。この機会に自店の置かれた環境や保有する経営資源などを客観的に見つめ直すことで、ご夫妻は一つの発見をします。それは、自店の〝存在価値〟です。他の受講者は台東区民ですが、皆さんが東洋庵を知っていて、「祖母が大ファンです」という人までいました。
最新号を紙面で読める!