日本商工会議所、「雇用調整助成金」の特例措置の延長などに関する緊急要望を取りまとめ、厚生労働省へ提出
日本商工会議所は8月7日、9月30日までとなっている「雇用調整助成金」の特例措置の延長などに関する緊急要望を取りまとめ、「雇用調整助成金の特例措置の延長に関する緊急要望~中小企業の事業継続と雇用の維持・安定に向けて~」として、厚生労働省へ提出しました。その後、厚生労働省は8月28日に、この特例措置を今年末まで延長することを発表しました。本要望の概要は、下記のとおりです。
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緊急要望の概要
1 緊急対応期間・特例措置の延長
○「雇用調整助成金」の緊急対応期間は、本年4月を起点とし、9月30日までと設定されている。
○特に6月12日付の特例措置では、対象労働者一人一日当たりの上限額の引き上げ(8,330円→15,000円)や、解雇などを行わず雇用を維持した場合の中小企業の助成率引き上げ(10/10)が行われ、多くの中小企業から評価・歓迎する声が聞かれている。
○新規感染者数の急増により9月30日までとなっている緊急対応期間・特例措置の延長を求める多くの声が寄せられている。
○緊急対応期間・特例措置の延長を実現し、早期に打ち出されたい。
○併せて、申請要件のさらなる緩和を引き続き検討していただきたい。
2 助成金の迅速な入金
○「雇用調整助成金」の利用ニーズが高まり、関係部署への申請段階や、申請後の審査段階で「目詰まり」が生じていた。
○そこで、当所は「雇用調整助成金の円滑な申請・支給に関する緊急要望」で、「目詰まり」の解消に向け、要望したところ、現時点ではおおむね2週間程度での支給決定がなされるに至っている。
○一方で、「雇用調整助成金」は休業手当を支払った後に支給される「後払い」の制度であり、入金処理の速さは当該企業の資金繰りに直結する問題である。
○支給決定後には、助成金が速やかに入金されるようにすべきである。
3 オンライン申請の早期再開
○オンライン申請は、「雇用調整助成金の円滑な申請・支給に関する緊急要望」でも早期実現を求めたが、不具合の発生によりいまだに運用が停止されている。
○厚生労働省では、第三者も含めて原因の究明を行っている最中とのことであるが、早期に運用を再開すべきである。
4 申請手続きに不慣れな中小企業に対する相談体制の強化、分かりやすい周知
○「雇用調整助成金」を申請する中小企業からは「申請要件が複雑で分かりづらい」「申請書の作成方法がよく分からない」といった声がいまだに多く聞かれる。
○厚生労働省は都道府県労働局やハローワークの窓口、さらにはコールセンターなどにおいて、中小企業からの問い合わせや相談にきめ細かく丁寧に対応されたい。
○また、商工会議所などの地域経済団体、業界団体や地方公共団体などが、都道府県労働局やハローワークに対して、窓口相談のために社会保険労務士などの専門家の派遣を依頼した場合には、速やかに調整し派遣するなどして、相談体制をより一層強化していただきたい。
○加えて、「雇用調整」助成金というネーミングが分かりづらいという声もあることから、「雇用の維持」のための助成金である旨が中小企業にストレートに伝わるような分かりやすい周知や、数次にわたる特例措置に関する丁寧な広報も求められる。
〈参考〉雇用調整助成金の特例措置/拡充内容と助成額の算定
*厚生労働省HP(令和2年8月7日15時点版)より
拡充内容・対象
①休業手当に対する助成率を引き上げ(中小企業4/5、大企業2/3)
※解雇など行わない場合(中小企業10/10、大企業3/4)
②助成額の上限を一人一日当たり15,000円に引き上げ
③教育訓練を実施した場合の加算額の引き上げ(一人一日当たり中小企業2,400円、大企業1,800円)
④新規学卒者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6カ月未満の労働者も助成対象
⑤雇用保険被保険者でない労働者(1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者)の休業も対象
⑥1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用可能
助成額と助成率、支給限度日数
(平均賃金額※×休業手当などの支払率)× 下表の助成率(一人一日当たり15,000円が上限)
※平均賃金額の算定について、小規模の事業所(おおむね20人以下)は簡略化する特例措置を実施しています。
[例]10,000円(1日当たり平均賃金額) × 0.6(支払率60%) × 4/5(中小企業の助成率) = 4,800円(1日当たり助成額)
※1 中小企業とは、以下の要件に該当する企業をいいます。
・小売業(飲食店を含む):資本金5,000万円以下または従業員50人以下
・サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
・卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
・その他の業種:資本金3億円以下 または従業員300人以下
◯本助成金の支給限度日数は原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~9月30日)に実施した休業などは、この支給限度日数とは別に支給を受けることができます。
■問い合わせ先:都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)
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