各地商工会議所を通じて集まった逸品を、週替わりで東京・秋葉原の食のテーマパーク「日本百貨店しょくひんかん」で販売する「地域うまいもんマルシェ」が好評開催中だ。毎号1地域ごとに店舗で販売された人気商品を紹介しているが、今回は6地域の自慢の逸品を一挙に紹介する。
庄内柿を使用した飲む柿酢
酒田商工会議所 山形県
酒田商工会議所は、山形県産「庄内柿」を使った柿酢をはじめ、梅ジュース、ヨーグルト、さつま揚げなど地元産品を活用した商品を出品した。
庄内柿(=平核無(ひらたねなし)柿)は平たい角型で種がなく甘く柔らかい。この柿を丁寧に発酵させてつくる柿酢はそのまま飲める酢。生食以外あまり食されていなかった特産の柿を地元の食品会社みどりサービスマルノー山形が活用し開発した。「さくらんぼ味」「ラ・フランス(洋ナシ)味」など約10種類がそろっている。また同社は山形県産「つや姫」の米こうじと鳥海山の氷河水でつくる「糀あま酒」も紹介した。
酒田市特産の「おばこ梅」を使った「梅ジュース」を出品したのはJA庄内みどり。同じく特産の「だだちゃ豆」を使った電子レンジでつくれる「だだちゃ豆おこわ」や「丸もち酒田まめほの香」なども販売した。
そのほか、酒田土産の定番、大正4年創業のかまぼこ店蒲徳の「さつま揚げ」や「だだちゃ蒲鉾」、伊達巻「伊達っ子」、鳥海山麓で丁寧なヨーグルトづくりをするヨーグルト工房鳥海の「鳥海高原ヨーグルト」、飲むヨーグルトなども出品した。
酒田市は現在農業の6次産業化を推進。柿酢もその一環として誕生した。今後も生産者と加工業者、飲食店など異業種連携による新商品開発が期待される。
羽二重餅など伝統菓子PR
武生商工会議所 福井県
武生商工会議所は、福井の代表的銘菓「羽二重(はぶたえ)餅」と「でっちようかん」を越前市内の老舗2社から紹介した。
「羽二重餅」は、もち米と砂糖でつくる柔らかな口当たりの餅菓子。福井では明治初期頃から「羽二重」といわれる絹織物の生産が本格化、20世紀初頭に一大産地となったことを背景に、土産品として、羽二重の滑らかな手触りをイメージする菓子がつくられ始めた。
越前市内の老舗菓子店新珠製菓の羽二重餅は、県産有機栽培米を使用し、添加物を加えずに昔ながらの製法でつくった逸品で、白(プレーン)とよもぎ、きなこの3種類を販売した。また同社は「斗棒餅(とぼもち)」といわれる切り餅も出品。つきたての餅を棒状に成型して切ったもので、北陸地方の伝統的な餅として知られている。
「でっちようかん」は福井の冬の風物詩として親しまれている水ようかん。福井では昭和初期から冬に水ようかんを食べる習慣があり、その名称は京都へ奉公に出た丁稚(でっち)が正月に里帰りする際に持ち帰ったことに由来するという。材料は小豆、黒糖、砂糖、寒天。平箱にようかんを流し込む「一枚流し」の製法でつくられ、ヘラですくって食べる。創業明治43年の老舗、高村菓舗のでっちようかんは昔ながらの製法でつくられた伝統の味。つるりとした喉越しで地元のファンも多い。
ショウガ活用した逸品集結
和歌山商工会議所 和歌山県
和歌山商工会議所は、同所がJAわかやまと共同開発したジンジャーエール「生姜丸しぼり」をはじめ、特産品のショウガやミカンを活用した商品、伝統的なかまぼこ、漬物などを出品した。
「生姜丸しぼり」は、和歌山県産の新ショウガをふんだんに使い丸搾りしたもので、くせのないライトで爽やかな味。平成22年の発売以来好評で、県産の梅の果汁を加えた「梅ひと雫」、地元特有のかんきつ「邪払(じゃばら)」を使った「じゃばらしみ透る」の全3種類が開発されている。そのほかショウガを使った商品として、国産原材料にこだわったシロップ「スーパージンジャー」や「ひやしあめ」、じゃこを加えたショウガのつくだ煮「紀州甘辛物語佃煮編」、ショウガ専門店の「ジンジャージャム」、調味料としても使える便利な「ジンジャーパウダー」などがブースに並んだ。
また、古くからこの地域で親しまれているかまぼこ「あしべ焼」を揚げた「あしべ揚げ」も紹介。ぷりっとした歯ごたえで、そのままでも、焼いてもおいしくいただける。和歌山のミカンを使った「有田のみかん酒」は、ミカン果汁100%。食前・食後酒にお薦めだ。ブースでは、老舗ののりや和歌山の伝統野菜「和歌山だいこん」の漬物「紀の川漬け」、豚骨しょうゆラーメン「紀州らーめん」などの名物も紹介した。
菓子と水産加工品アピール
伊東商工会議所 静岡県
伊東商工会議所は、地域ブランド「いとうのいいもの」認定商品を中心に、菓子、水産加工品などを紹介した。
同ブランドは伊東市の地域資源を活用した独自性のある商品を同所が認定するもので現在58品。特に伊東は菓子店が多く、また漁業のまちでもあることから同所は「伊東お菓子ぃ共和国」「伊豆・いとう地魚王国」事業を推進、PRに注力している。
菓子では、創作菓子いっしんから伊東名物「ぐり茶」を使った濃厚な「ぐり茶プリン」、あんにぐり茶(抹茶)を練り込みカステラ生地で包んで蒸した菓子「ぐり坊」などを出品した。ぐり茶は一般的な煎茶のように茶葉を揉んで形を整えないため茶葉が丸まっており、渋みが少なくまろやかなのが特徴だ。また、市の天然記念物である城ヶ崎海岸の球体岩、「かんのん浜のポットホール」をかたどった菓子「ぽっとほーる」もブースに並んだ。
水産加工品では地元の総菜店おかずのあんどうが郷土料理「ちんちん揚げ」や「さばの味噌煮」を出品。ちんちん揚げは魚のすり身を揚げたもので、揚げる音が名前の由来。すり身に加えたイカの食感が人気だ。 そのほか、養蜂業みつばちのーとが伊豆半島で採蜜した非加熱の天然生蜂蜜を出品。春の花の蜂蜜「花々の雫」と、蜂蜜にナッツやドライイチジクを漬け込んだ逸品も紹介した。
高校生と事業者が商品開発
相生商工会議所 兵庫県
相生商工会議所は、地元高校生と事業者が開発した商品や女性農家グループの開発商品などを出品した。
同所は平成28年4月より兵庫県の異業種交流活性化事業に取り組み、県立相生産業高等学校の有志22人(昨年12月時点)と事業者による商品開発を推進。これまでに9つの商品が誕生している。今回は特産品のユズを活用した第1作の「ゆずみそシフォンケーキ」や、あいおいも(キャッサバ芋)を活用した「あいおいもアイス」、播磨灘産のカキを使ったふりかけ「ふりカキ」などを紹介した。
高校生らは開発の際、材料に特産品を使うだけでなく廃棄される部分にも着目。「ふりカキ」はカキを加工する際に出る煮汁を活用し、昨年開発した「メローネあいす」も日照りの影響で割れ、廃棄されるメロンを活用した。期間中販売に訪れた高校生は、「地元でもカキを食べないという小学生が3割いる。味を知ってもらうために、商品を給食にも提供したい」と話した。
女性農家グループ「かあちゃんず」は、ユズの果汁100%の「まるごとゆず」や「ゆずみそ」「ゆずゼリー」などを販売。また、地元農家がつくる「瀬戸内しいたけ」(ホールとスライス)、伝統菓子の「雷ミックス」、スルメフライ「うまいか」などもブースに並び、高校生手書きのPOPで来店者にアピールした。
懐かしの銘菓と新名物集合
備前商工会議所 岡山県
備前商工会議所は、独自の商品づくりにこだわる備前市内の5事業所の逸品を紹介した。
市内の老舗しょうゆ醸造会社のしょうゆをあんに使ったまんじゅう「包(つつみもの)」は創業明治4年の菓子店福井堂の新名物。洋菓子も製造する同店は立体デコレーションケーキも紹介した。銘菓「倉敷勞饅(ローマン)」は、昭和初期に紡績工場で働く女性労働者のために開発された栄養食「労研饅頭」を現代に受け継いだ菓子。当時これを製造していたニブベーカリーの名物で、懐かしい味が地元で愛されている。
吉村養蜂場の蜂蜜も同所のお薦め。岡山県内で採蜜されたもので、「れんげ」「あかしあ」とさまざまな花から集めた「百花蜂蜜」の3種類の蜂蜜を紹介した。
また伝統製法で穀物酢を醸造する波多野嘉三郎商店は、県産のコメを使った「玄米酒酢」、ハトムギを原料とした「薏苡仁(ヨクイニン)酒酢」、薏苡仁酒酢に青梅を漬け込んだ「梅甘酢」などを出品。発酵食品製造の日東酵素は、大豆発酵食品「テンペの恵み」と「黒豆甘納豆」を出品した。インドネシア発祥のテンペは栄養豊富でくせがなく、健康食品として注目されている。
同所は今回、購入者やアンケート回答者へのプレゼント企画を実施。日本遺産に認定された「備前焼」と「旧閑谷学校」など地元の産品・観光もPRした。
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