基本的な課題認識と対応の方向性
〇新型コロナウイルス感染症の影響により大きな打撃を受けた中小企業・小規模事業者の事業継続を強力に支援するため、令和2年度第一次および第二次補正予算において、持続化給付金・家賃支援給付金・持続化補助金の支給や実質無利子の融資・資本性資金の供給などの資金繰り対策といった危機対策を実施。
〇令和3年度当初予算では、①「事業承継・再生等の新陳代謝の促進」②「研究開発・海外展開等を通じた生産性向上による成長促進」③「中小企業等のデジタル化の推進」に取り組み、コロナ危機の克服および危機を契機とした構造転換による低成長からの脱却を図る。
〇加えて④「経営の下支え、事業環境の整備」⑤「災害からの復旧・復興、強靭(きょうじんか)化」にも粘り強く取り組む。
①事業承継・経営資源集約化・再生等の新陳代謝の促進
〇経営者の高齢化が進む中、事業承継は喫緊の課題。親族内・第三者承継を総合的に支援する体制を整備し、プッシュ型の支援に転換。
〇また、事業承継などを契機とした経営革新に挑戦する中小企業を後押しするため、事業承継補助金を措置し、承継を機縁とした成長促進を強力に支援。
〇ウィズコロナ/ポストコロナ社会に向けた新たな成長を促すため、経営資源の集約化を後押しするための税制を創設し、包括的かつ集中的な取り組みを実施。
〇コロナ危機により中小企業再生支援協議会に対する相談が急増、再生計画策定の要望に十分に応じられるよう体制を拡充する。
(予算)事業承継総合支援事業【142・8億円(75・1億円)の内数】
・事業引継ぎ支援センターに事業承継ネットワークを統合。事業承継ニーズの掘り起こし、事業承継計画の策定支援・専門家派遣などの事業承継に関する総合的な支援を実施。
(予算)事業承継・世代交代集中支援事業【27・0億円(新規)】
・事業承継・事業再編を契機とした設備投資や第三者承継時の専門家活用費用などを補助する事業承継補助金を措置するとともに、後継者選定後の教育に関する実証事業(事業承継トライアル実証事業)を実施。
(税)中小企業の経営資源集約化促進【新設】
・ウィズコロナ/ポストコロナ社会に向けて、地域経済・雇用を担おうとする中小企業の経営資源の集約化(統合など)を支援するため、必要な措置を要望。
(予算)中小企業再生支援事業【142・8億円(75・1億円)の内数】
・中小企業再生支援協議会によるコロナ危機の影響を受けた中小企業の再生計画の策定支援など。
②研究開発・海外展開等を通じた生産性向上による成長促進
〇事業化計画の磨き上げを含め研究開発を支援し、技術力に秀でた中小企業のビジネス展開を促進。
〇海外展開支援は中小企業の生産性向上にとって重要。特にコロナ後の海外展開で重要となる越境ECなどを活用し、時代に即応した海外進出を強力に支援。
(予算)戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(サポイン事業)【147・0億円(131・2億円)】
・ものづくり基盤技術に関する研究開発支援(3年間最大9750万円)。高い技術的優位性がある一方、事業化に向けた計画に見直しの余地がある案件について、事業化計画の磨き上げ支援を行い、十分な見直しが図られたものを採択する新たな取り組みを実施。
(予算)JAPANブランド育成支援等事業【10・6億円(10・0億円)】
・中小企業の越境ECやクラウドファンディングを活用した海外展開、コロナ危機を契機とした新事業展開を図る取り組みを支援。
③中小企業等のデジタル化の推進
〇データを活用した中小企業の研究開発を促進し、デジタル技術活用を推進。
〇デジタルを活用した地域企業・産業の競争力強化と、若者を中心とした人材の地方移動支援などを実施。
〇政府の中小企業向け支援サイトであるミラサポplusの拡充なども実施。
(予算)中小企業生産性革命推進事業(中小機構運営費交付金)【3600億円<R1補正>】
・設備投資、販路開拓、ITの導入を補助するなど、中小企業の生産性向上に資する継続的な支援を実施。
(予算)ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業(ものづくり補助金)【21・5億円(10・1億円)】
・複数の中小企業がデータを共有し生産性の向上を図る取り組みや、中小企業が共通システムを導入しデータを共有・活用することでサプライチェーン全体を効率化する取り組みなどを支援。
(予算)地域未来デジタル・人材投資促進事業【30・0億円(新規)】
・地域未来牽引(けんいん)企業などを中心とした地域経済を牽引する企業のデジタル化を支援し、地域における高生産性・高付加価値企業の強化・創出を行うとともに、若者人材の地域企業への移動を支援。
④経営の下支え、事業環境の整備
〇中小企業の取引条件の改善を図り「しわ寄せ」を防止することで、大企業と中小企業が共に成長できる環境整備に取り組む。
(予算)中小企業取引対策事業【10・0億円(9・8億円)】
・中小企業などの取引上の問題解決に向けた専門家や弁護士による相談を行う下請かけこみ寺事業などを実施。
〇中小企業の相談対応(よろず支援拠点)や経営指導(経営発達支援計画)、資金繰り支援(政策金融・信用保証制度・マル経融資など)、小規模事業者支援(自治体連携型補助金など)、消費税転嫁対策などに引き続き取り組む。
⑤災害からの復旧・復興、事前の備え
〇東日本大震災、令和2年7月豪雨からの復旧・復興について引き続き支援策を措置。
(予算)なりわい再建支援事業【275・7億円】(令和2年度予備費で措置済み)
〇近年多発する自然災害などに対する中小企業の事前対策の取り組みを強力に支援し、中小企業強靭化を図る。
(予算)中小企業強靭化対策事業【中小機構運営費交付金194・1億円(175・5億円)の内数】
・中小企業の自然災害などへの事前対策を促進するため、「強靭化支援人材」を機構の地域本部に配置し、相談体制を整備。
※上記に加えて、「新しい日常」に対応するための事業再構築・事業再編支援などを事項要求。
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