渋沢栄一は、日本各地に500余りの企業や銀行などを興し、各地の商工会議所との交流も深かった。そして、90歳を過ぎた晩年まで渋沢翁は、精力的にそうした企業や商工会議所を訪れ、請われるままに論語から選んだ言葉を残している。その中から、七つの扁額を紹介する。
終生、理想の企業経営を追い求め続ける
渋沢栄一は、「理想の企業経営とは何か」を論語に求めた。渋沢が著した代表的な本である『論語と算盤(そろばん)』の中で、経営者が自社の利益だけを求めるのではなく、利益を社会へ還元してこそ、企業の使命が果たされると説いている。
つまり、論語を根拠として企業の利益と公益は両輪だとする「道徳経済合一説」こそ渋沢が生涯にわたって求め続けた理想の企業経営だったのだ。渋沢は、なぜ論語に企業経営のあるべき姿を求めたのか。
渋沢は、晩年まで日本各地を精力的に訪れ、経営者としての姿勢や企業の在り方を説いた。そして、渋沢を慕う経営者や商工会議所に請われるままに論語や史書から選んだ書を残し、その精神を今に伝えている。
扁額など、渋沢栄一翁にゆかりのあるものを所蔵されている社(者)は、石垣編集部まで情報をお寄せください
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