日本商工会議所は11月19日、坂本哲志地方創生担当大臣との懇談会を都内で開催。坂本大臣のほか内閣府・内閣官房の幹部14人と商工会議所関係者16人が懇談した。日商の三村明夫会頭は、「地方創生は、スタートした6年前と比べて熱気が冷めているように感じる」と懸念を示した上で、「コロナ禍で一極集中のリスクが顕在化し、テレワークや地方居住などの動きも見られるようになった今こそ、地方創生を推進する絶好の機会」と指摘。取り組みの加速に期待を寄せた。
懇談会には、日商側は、三村会頭はじめ、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、藤永憲一副会頭(福岡・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)、池田晃治副会頭(広島・会頭)らが出席。政府側は、坂本大臣はじめ、三ッ林裕巳内閣府副大臣らが参加した。
三村会頭は、各地における第2期総合戦略の策定に約2割の商工会議所が関与できていない調査結果を示すとともに、地域の実情に合わせて使える「地方創生臨時交付金」の増額を要望した。
坂本大臣は、「三村会頭から地方創生の熱が冷めているとの話があったが、自分自身も危機感を持っている。官主導となっている地方創生の在り方を改め、地方で民間の力を取り入れた総力戦をしなければならない」と強調。「コロナによって前提条件が変わった。テレワークが機能することが確認されたが、移住促進や副業・兼業の推進など転職なき移住により、東京の企業に勤める人材の知見を地方に振り向け、地方の中小企業を活気づけていきたい」と述べた。その上で、東京一極集中から地方分散型の活力ある地域社会に変えていくことは国益であり、発展のエネルギーであるとの認識を示した。
そのほか、日商側から、地方創生に対する地域金融機関としての具体的な取り組みおよびコロナ禍における飲食業界の苦境、若者の定着に向けた地元大学との連携や産官学連携による人材育成・定着などについて発言。移住やワーケーションの取り組みとその受け入れ環境整備や、創業・移住に関する伴走型支援事業、商工会議所運営に対する一層の財政支援を求めた。
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