細長く平べったい餅はふぞろいで同じ形がなく、一つずつ手づくりされているのが分かる。餅の表面にはほどよく焦げ目がつき、香ばしいにおいが漂ってくる。まるで焼き上がったばかりのよう。う~ん、食欲がそそられる。
四日市名物の「太白永餅(たいはくながもち)」は国産のもち米と北海道産の小豆だけを使い、丁寧につくられる無添加の餅菓子。軟らかく、しっとりした舌触りの餅の中に甘さ控えめのあんがたっぷり詰まっており、その配分が絶妙。これ以上あんが多くても、餅が厚くても今の最高傑作にはならなかっただろう。姿形、焼き方、あんの甘さが見事にバランスを取っている。
製造するのは、1868(慶応4)年創業の老舗・太白永餅。創業153年目、地元が誇る銘菓として愛され続け、天皇陛下が皇太子時代に買われたこともあるそう。
東海道五十三次の43番目の宿場、四日市宿。宿場の茶屋で旅人をもてなした長い餅が「太白永餅」のルーツとか。個包装されているので、分け合うのにも便利。ビジネスマンも学生も、たまにはスマホをバッグにしまって、往時のように、うまい茶とともにじっくり餅を味わおう。弥次さん喜多さんが現れるかも……ね。
Data
社名:有限会社太白永餅(たいはくながもち)
所在地:三重県四日市市本町6-7
電話:059-352-2463
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