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テーマ別企業事例 コロナ禍の逆境に負けない “地域限定”飲食チェーン奮闘中!

事例2 コロナの影響が少ない讃岐うどんで新たな展開を着実に進めていく

ウエストフードプランニング(香川県丸亀市)

讃岐うどんの本場、香川県丸亀市に本社を置くウエストフードプランニングは、県内にセルフスタイル讃岐うどん店「こだわり麺や」13店舗(ほかにマレーシアに2店舗)を展開するほか、カレーうどん店と天ぷら飲食店を運営している。コロナ禍で、昨年9月の決算では創業以来初の赤字を計上したが、それはグループ全体の数字で、うどん業態だけを見れば、ほぼ全店が黒字。次の決算では全体でも黒字を見込んでいるという。

麺には、うどんに最適なオーストラリア産小麦の特等粉と、風味豊かな国産小麦の一等粉をブレンドしたものを使用

脱サラして始めた店が今では県内13店舗にまで拡大

別名「うどん県」とも呼ばれる香川県の人たちにとって、うどんはほぼ毎日食べる日常食で、誰もが行きつけの店を持っている。そのこだわりは他県の人には分からないほど強いものである。そんな香川県で、「こだわり麺や」には毎日多くの常連客が訪れ、来客数は年間200万人を超えている。同店は社長の小西啓介さんが脱サラして1998年にオープンした。以来、徐々に店舗数を増やし、今では13店舗にまで広げている。

「とにかく毎日食べに来るお客さまが非常に多く、この人の体の3分の1くらいはうちのうどんでできとんのとちゃうかなと思うほどです。体に良いものをとまではいえませんが、極力体に悪くないものをご提供していきたいという思いでやっています」と、小西さんは言う。

その一環として、うどんダシには上白糖の代わりに香川県で開発されたカロリーの吸収を抑える効果がある希少糖を使い、取り放題の刻みネギには子会社が低農薬で生産したものを使っている。かつては完全無農薬にも取り組んだが、さまざまな壁があり断念したという。もちろん、うどんの味にはこだわっており、地元の製粉会社に依頼してつくったオリジナルの小麦粉を使い、昔ながらの足踏みで生地をこねて仕込んでいる。

「素材や味の良さは大前提として、それ以外に重視しているのが、お客さまが活力を充電できる店にすることです。おいしいものを食べると元気になるのはもちろん、スタッフが一生懸命、笑顔で接客する姿、それがお客さまに伝わり、元気になれる。それがお客さまから評価をいただいている理由の一つだと思います」

創業以来初の赤字決算も店舗だけを見ると黒字に

地元の人たちに愛される店に成長してきたこだわり麺やだったが、昨年からのコロナ禍で、やはり大きな影響を受けた。

「昨年4月は、最も影響を受けました。4月初めにうちの店の近くでクラスターが発生したんです。そのため近くの2店舗を休業にしましたが、みんな生活のために仕事をしているので、パートさんやアルバイトさんには、別の店で勤務したいという人には行ってもらい、休みたいという人には休んでもらいました。その点でチェーン店があるのは強みでした」

その後、〝香川県らしい〟要請が県から出た。うどん店には多くの人が集まることから、ゴールデンウィーク中の営業を自粛してほしいというものだった。

「その後は感染状況が落ち着くとともに売り上げも回復してきたのですが、また感染者数が増えたりして、その増減に合わせるように売り上げも増減するということの繰り返し。そのため、昨年は創業以来初めての赤字決算でした。ただ、店舗の数字だけで見ると、ほとんど黒字だったんです。製造や管理部門などの経費を合わせると、やや赤字になるという程度でした。今は月単位では一昨年と比べても5%も落ちていません。ほぼ戻ったかなという感じです。次の決算は、今のままでいけば黒字に戻りそうです」と言う小西さんの表情は明るい。

一方で誤算だったのが、コロナ禍になって始めたテークアウトが全く売れなかったことだという。

「香川県の人は麺に対するこだわりが強いので、持ち帰って食べるうどんはだめなんですね。テークアウト用の容器が大量に余ってしまいました」と苦笑する。

麺づくりを科学的に分析し新たなうどんづくりに挑戦

業績が回復に向かいつつある中、こだわり麺やを運営するウエストフードプランニングでは、新たな取り組みを始めている。それはフリーネームのフランチャイズ展開で、店のオーナーは同社から讃岐うどん店の開業や運営のノウハウ、原材料の供給を受け、自分の好きな屋号で店を開業できるというものである。今年4月には、第一号店が島根県にオープンした。

「ホームページを公開しただけですが、多くの問い合わせがきています。ほとんどが飲食業の方ですね。この事業は以前から準備を進めていましたが、コロナで止まっていました。それを再開したのは、うどん業界がコロナの影響をそれほど受けなかったので、それが強みになると判断したからです」

これに合わせ、新たな製麺機を導入した。手打ちうどんの製造は職人の感覚に頼る部分が大きいが、それを科学的に分析し、新たな麺づくりに挑戦していくためだ。

「うどんは小麦粉と水と塩のみが原料というシンプルなもので、今後、科学分析していく余地はたくさんあります。素材の組み合わせとつくり方を数多く試して、おいしいうどんの科学的根拠をしっかりと示せるようにしたい。それができたら、うどんづくりをさらに上の段階に上げることができると思っています」

さらに、コロナ禍でも県内外から「こだわり麺や」の出店要請が数多くきており、5月には新店舗を隣の坂出市にオープンしている。今後の多店舗展開については「自分たちの身の丈に合ったスピードでやっていこうと思っています」と小西さんは言う。

全国展開しているうどんチェーンもあるが、地域に密着したウエストフードプランニングは味と品質にこだわって、一歩一歩着実に前に進んでいく。

会社データ

社名:株式会社ウエストフードプランニング

所在地:香川県丸亀市田村町1243-1

電話:0877-21-2580

HP:http://www.westfoodplanning.com/

代表者:小西啓介 代表取締役

従業員:180人(うち正社員29人)

※月刊石垣2021年6月号に掲載された記事です。

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