Q 当社は都内に数店舗を有するデパートですが、各店舗とも多数のパートタイム労働者を雇っています。パートタイム労働者は、雇用期間は特に定めておらず、勤務は1週4日、1日6時間ですが、これらのパートタイム労働者にも育児休業を取得させなければならないのですか。
A 育児休業法では、「日々雇用される者」および「労使協定で定められた一定の労働者」以外の労働者(ただし、期間を定めて雇用される者は一定のものに限る)は、すべて育児休業の対象となります。ご相談のパートタイム労働者については「期間の定めのない契約」で働いている限り、育児休業の申し出があればそれを拒否できません。なお、本解説中「1歳(一定の場合は2歳)」としていますが、育児・介護休業法9条の2(同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例)が適用される場合は「1歳2カ月」と読み替えることになります。
育児休業の申し出を拒否できる条件
1992年4月1日から育児休業法が施行されました。育児・介護休業法が99年4月1日より施行され、2004年の改正で、1歳(一定の場合は2歳)未満の子を養育する男女労働者は、事業主に申し出ることにより、子が1歳(一定の場合は2歳)に達するまでの間で希望する期間、育児休業を取得することができるようになっています。
「子」については労働者と法律上の親子関係がある子であれば実子、養子(特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子その他これらに準ずるものを含みます)を問いません。また、育児休業は父親、母親のいずれでも取得することができます。
ところで育児・介護休業法は、「日々雇い入れられる者」については適用除外(育児・介護休業法2条)とし、「労使協定によって育児休業をすることができないと定めた者」については事業主は育児休業の申し出を拒むことができるとしています(同法6条1項)。また、「期間を定めて雇用される者」については一定のものに限り育児休業の申し出を認めるとしています(同法5条)。
労使協定で育児休業を拒むことができるのは、①当該事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者、②育児休業申し出の日から1年(1歳から1歳6カ月までの休業申し出の場合は6月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者、③1週間の所定労働日数が2日以下の労働者に該当するものです。
ご相談の件は上記のいずれにも該当しないので、育児休業の対象となります。
育児休業の期間、申し出に注意
育児休業をする期間は、原則として子が出生した日から子が1歳(一定の場合は2歳)に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間であります。
労働者は、原則として育児休業を開始しようとする日の1カ月(1歳から1歳6カ月に達するまでの子の育児休業の場合には2週間)前までに申し出る必要があります。これより遅れた場合、事業主は一定の範囲で休業を開始する日を指定することができます。出産予定日より早く子が出生した場合などには育児休業を開始する日を繰り上げ変更することができます。また、当初育児休業を終了する予定にしていた日の1カ月前までに申し出ることにより、1回に限り、育児休業を終了する日を繰り下げ変更することができます。
さらに、子を養育しないこととなった場合、子が1歳(または2歳)に達した場合、育児休業している労働者が産前産後休業・新たな育児休業が始まった場合には労働者の意思にかかわらず育児休業は終了します。育児休業開始前に子を養育しなくなった場合は、育児休業の申し出はなされなかったこととなります。
育児休業の開始前であれば、労働者は育児休業の申し出を撤回することができますが、特段の事情がない限り同じ子について再び育児休業の申し出はできません。
休業または変更の申し出は、休業申出書、変更申出書によらなければなりません。 (元労働基準監督官・杉浦 純)
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