中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際に経費の一部を補助する「IT導入補助金」の2022年度の公募が始まった。従来の「通常枠(A、B類型)」(令和元年度補正予算)に加え、「デジタル化基盤導入枠」(令和3年度補正予算)が新設。23年10月に導入されるインボイス制度への対応を見据え、ハードウエアの購入も補助対象となるなど制度が拡充されている。通常枠、デジタル化基盤導入枠とも常勤従業員が100人以下の商工会議所も利用できる。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の経営力の向上・強化を図ることを目的に、中小企業・小規模事業者が一定の条件を満たすITベンダーなど(IT導入支援事業者)から提供されるITツールを導入する際に経費の一部を補助するもの。ソフトウエア購入費、クラウド利用料、導入関連費などが、補助対象となる。IT導入支援事業者は、中小企業・小規模事業者の課題に対応したITツールの提供ばかりでなく、同補助金の申請サポート、導入後のフォロー、補助事業の実施報告までをサポートする。(図1)
デジタル化基盤導入枠とは
インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的に新設。会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入を対象に補助率を引き上げたほか、クラウド利用料(最大2年分)や、ソフトウエアと併せてPC、タブレット、レジ・券売機などを購入する場合はこれらのハードウエアも補助対象となる。デジタル化基盤導入枠のうち、個社での取り組みは「デジタル化基盤導入類型」に、地域DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた複数社での取り組みは「複数者連携IT導入類型」に区分される。(図2)
複数者連携IT導入類型とは
複数の中小・小規模事業者が連携してITツールおよびハードウエアを導入することにより、地域DXの実現、生産性の向上を図る取り組みに対して、複数社へのITツール導入を支援するとともに、効果的に連携するためのコーディネート費や取り組みへの助言を行う外部専門家に係る謝金などを含めて支援するもの。商工会議所(職員100人以下)をはじめとする商工団体など、当該地域のまちづくり、商業活性化、観光振興などの担い手として事業に取り組むことができる中小企業者または団体(まちづくり会社、観光地域づくり法人(DMO)など)、複数の中小企業・小規模事業者により形成されるコンソーシアムが対象となる。
申請手続きなど
IT導入補助金の申請には、法人向け(個人事業主含む)の共通認証システム「gBizIDプライム」を取得していること、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」(セキュリティ対策の自己宣言制度)の宣言を行うことなどが必要。また、自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定するなどの事前準備をしておく必要がある。
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