日本商工会議所の三村明夫会頭は6月16日、岡山市で開催した移動常議員会・議員総会後の記者会見で、今年の最低賃金の議論について、「最低賃金は現在の経済状況や中小企業の経営実態を踏まえて、十分議論した上で決定してほしい」と述べた。米国の利上げと円安の影響については、「現在の日本経済の実態を踏まえると円安は好ましくない」と指摘。「物価動向や円安の影響を総合的に勘案しつつ、将来的な利上げの可能性も踏まえて、慎重に対応してほしい」との考えを示した。
記者会見には、三村会頭のほか、中国地方商工会議所連合会の池田晃治会頭(広島・会頭)、岡山県商工会議所連合会の松田久会長(岡山・会頭)が同席した。岡山県経済の現状について、三村会頭は、「日本の中で非常に元気な地域だという印象を持っている」と指摘。松田会頭は、「久しぶりの大規模会議の開催となったが、徐々に平時に戻りつつある」と述べる一方で「先行きは不透明感が高い」と述べ、中小企業の収益悪化への懸念を表明した。
最低賃金について、三村会頭は、「今年の骨太の方針に、『官民が協力して引き上げを図るとともに、その引き上げ額については、公労使三者構成の最低賃金審議会で、生計費、賃金、賃金支払い能力を考慮し、しっかり議論する』と書き込まれた」と指摘。「最初から『3%引き上げありき』で議論を進めるのではなく、公労使三者が事実に基づいて、議論を戦わせて、納得感のある水準で決着することを期待している」と述べた。
資源・原材料価格の高騰については、「長引くと考えている」と述べるとともに、「中小企業はコスト増加分を、何らかの形で転嫁しなくてはならなくなる」と指摘。「消費者物価指数は上昇し、今後、日本全体で大きな問題になる」との見方を示した。
円安進行については、「円安が日本経済に与える影響をしっかり分析・評価することだ」と述べるとともに、「現在の日本経済の実態を踏まえると、円安は好ましくない」と強調。「物価上昇率が2・5%程度という現段階では、日銀が利上げに向かう政策を取ることはなかなか難しい」と指摘するとともに、「物価の動向や円安の影響を総合的に勘案しつつ、将来的な利上げの可能性も踏まえて、慎重に対応してほしい」と述べ、急激な円安を是正するための議論の必要性を強調した。
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