日本商工会議所は10月12日、政府の経済対策に対する緊急要望「物価高を克服し、中小企業の自己変革や民間投資を呼び起こす経済対策を」を取りまとめ、公表した。10月中に策定される政府の総合経済対策に対して、商工会議所の意見を盛り込むため、政府・与党の対策案などがまとまる前に作成したもので、「足元の物価高、コスト増の克服に向けた対策」「中小企業の自己変革や人材育成など、潜在成長率を底上げする対策」「円安を活用した外需取り込みや国内回帰などを促進する対策」「コロナマインドや将来不安の払しょくによる消費・需要喚起」の四つの柱に必要な対策を盛り込んでいる。今後、政府・与党に提出し、要望事項の実現を働きかける。
要望では、「基本的な考え方」として、まず、物価上昇や賃上げなどの国民生活や企業経営に与えている甚大な影響と窮状を指摘し、真に困窮する者に対する再建支援の必要性を強調。また、賃上げ圧力が高まる中、中小企業が自発的な賃上げを行うためには、原資の確保が不可欠であり、「パートナーシップ構築宣言」の実効性を高め、BtoB、BtoCの取引適正化が必要と指摘している。
また、中小企業の自己変革による事業再構築など、付加価値拡大への挑戦や、円安メリットを生かした輸出拡大やインバウンドへの支援を要望。「成長分野への大規模で長期計画的な政府支出で民間投資を大胆に呼び起こすべき」と求めている。
「足元の物価高、コスト増の克服に向けた対策」では、企業や家庭の省エネ・脱炭素への取り組み支援を強化し、エネルギー危機を乗り越えられる基盤整備が重要と指摘するとともに、原発早期再稼働を含めたエネルギーの安定供給を要望。取引適正化については、「パートナーシップ構築宣言」の周知と実効性確保のほか、悪質な事案への企業名の公表など、踏み込んだ対応が必要と訴えている。
「中小企業の自己変革や人材育成など、潜在成長率を底上げする対策」では、DXやGXによる生産性向上など、中小企業の自己変革への挑戦支援を要望。賃上げやリスキリングなど「人への投資」の拡大に向けては、中小企業の賃上げや人材確保・育成投資への税制・助成制度などの支援の拡充、外国人材活用に向けた生活・就業環境の整備を求めている。
「円安を活用した外需取り込みや国内回帰などを促進する対策」では、中小企業の輸出促進やインバウンド、経済安全保障に向けた製造業などの国内回帰とサプライチェーン強靭(きょうじん)化の推進を要望。「コロナマインドや将来不安の払しょくによる消費・需要喚起」では、コロナを日常的な病気として共生していくための具体策や、将来不安の払しょくに向けた社会保障制度改革の断行などを求めている。
詳細は、https://www.jcci.or.jp/recommend/2022/1012130009.htmlを参照。
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