日本商工会議所は1月18日、東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会との懇談会を開催した。会合には、日商の小林健会頭、藤﨑三郎助副会頭(東北六県商工会議所連合会会長、仙台商工会議所会頭)、連絡会の桑原茂代表(塩釜商工会議所会頭)などメンバーの商工会議所会頭らが出席。桑原代表は、小林会頭に「東日本大震災復興に関する要望」(※要望抜粋)を手交し、国への働き掛けを求めた。
会合で、小林会頭は、2021年度から25年度までの5年間を「第二期復興・創生期間」と位置付けた国の取り組みが着実に進展していると指摘。また、気仙沼、大船渡、釜石の3商工会議所で設置した水産資源に関する研究会や福島イノベーション・コースト構想などの取り組みに触れ「各地で変化する事業環境に対応して課題を乗り越えようと自発的な取り組みが進んでいる」と高く評価した。
一方で、ALPS処理水問題については、「地域事業者への影響を最小限に抑え、事業を継続できるよう、国が前面に立って、国内外における水産資源の信頼確保を図るべき」と強調。販路開拓支援など、事業者の声を踏まえた対応を国に求めていく考えを示した。
連絡会の桑原代表は、被災地の事業者の状況について「コロナ禍、原材料やエネルギー価格の高騰、頻発する自然災害なども相まって、事業の存続に関わる厳しい経営を強いられている」と述べるとともに、交通インフラなどのハード面の整備の進展に伴い、「それを生かすソフト事業が強く望まれている」と指摘。ALPS処理水については、「より広域的、国際的な視点からも対応が必要」との考えを示した。その後の意見交換では、連絡会の武輪俊彦会頭(八戸)、米谷春夫会頭(大船渡)、草野清貴会頭(相馬)、秋山光伯会頭(日立)、岡田知益会頭(銚子)らが各地の実情を踏まえた要望事項を説明し、日商が取りまとめる要望書への反映を要請した。
東北六県商工会議所連合会の藤﨑会長も連合会としての要望書を日商に提出。「東日本大震災からの復興が完遂するまでの政府機関による継続支援」「福島の再生・原子力災害の克服と産業復興・地域再生の確実な推進」とともに、逆境に強い東北経済の構築に向けた支援策の拡充などを求めている。
両団体の要望を聞いた小林会頭は、3月にも日商として取りまとめる国への要望書に現場の生の声を反映させることを明言。関係各方面に実現を強く働き掛けていく考えを示した。
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