Q くるみん認定制度の認定基準が改正され、不妊治療と仕事の両立支援に関する項目が盛り込まれたと聞きました。概要を教えください。
A 次世代育成支援対策推進法に基づき一般事業主行動計画を策定した企業は、目標を達成し一定の基準を満たせば、申請により厚生労働大臣から子育てサポート企業の認定を受けることができます。この制度には、くるみん認定、トライくるみん認定、プラチナくるみん認定の3種があり、さらに不妊治療と仕事の両立支援に関する認定基準を満たすことで、それぞれ「くるみんプラス」「トライくるみんプラス」「プラチナくるみんプラス」の認定を受けられます。
子育てサポート企業の認定制度
次世代育成支援対策推進法は、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために定められた法律です。次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定し、一定の基準を満たした企業は、申請により厚生労働大臣から「子育てサポート企業」としての認定を受けることができます。これが、「くるみん認定」(広義)です。認定企業は「くるみんマーク」を使えるようになります。マークを広告等に付し、厚生労働大臣から認定を受けたことを対外的に明らかにすることで、学生や社会一般へのイメージアップや優秀な従業員の採用・定着等につながります。
認定を受けるためには、行動計画の目標達成や、男性労働者の育児休業取得割合等、10項目以上の認定基準を満たす必要があります。認定には、くるみん認定(狭義。「トライくるみん」より高い水準)、トライくるみん認定(2022年4月から新設された認定制度)、プラチナくるみん認定(「くるみん」より高い水準)の3種があります。
不妊治療と仕事との両立に取り組む企業を認定
22年4月1日から、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備に取り組む企業の認定制度が創設されました。不妊治療と仕事との両立に関する取り組みの基準が追加され、基準を満たせば、「くるみんプラス認定」「トライくるみんプラス認定」「プラチナくるみんプラス認定」を受けられるようになりました。
新設された「プラス」制度とその効果
①くるみん認定(広義)
従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備について、一般事業主行動計画を策定し、一定の基準を満たした上で申請をすれば、厚生労働大臣のくるみん認定(広義)を受けられます。
②プラス認定とは
各くるみん認定基準に加えて、不妊治療と仕事の両立のための認定基準を満たすよう環境整備を行えば、申請により厚生労働大臣のプラス認定を受けられます。
③プラス認定を受けるための基準
プラス認定を受けるためには、次の要件を全て満たす必要があります。
・ 不妊治療のための休暇制度を設けている。
・ 不妊治療のための半日単位・時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークのいずれかの制度を設けている。
・ 不妊治療と仕事との両立に関する方針、そのための措置を示し社内に周知している。
・ 研修その他の不妊治療と仕事との両立に関する労働者の理解を促進するための取り組みを行っている。
・ 不妊治療を受ける労働者からの相談に応じる担当者を選任し周知している。
プラス認定を受けると、「くるみんプラス」「トライくるみんプラス」「プラチナくるみんプラス」の各マークを商品、役務、労働者募集用の広告等に使用できるようになります。また、公共調達の際の加点評価対象になるよう国の指針において定められています。 (特定社会保険労務士・桑木しのぶ)
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