日本商工会議所はこのほど、「国土強靭(きょうじん)化基本計画変更に関する意見」を取りまとめ、国土強靱化推進本部(本部長・岸田文雄首相)に提出した。基本計画は、国土強靭化基本法に基づき、概ね5年ごとに見直しを行うこととされており、内閣官房では、日商などへの意見照会結果を踏まえて計画案を作成。今年夏頃の閣議決定を予定している。
日商では、これまで、計画案を作成する内閣官房の「ナショナル・レジリエンス懇談会」や、自民党会合の場において、計画変更の方向性などについて意見陳述。国土強靭化が「国の成長戦略に寄与し、経済成長の一翼を担う」という考え方や「国土強靭化と経済成長の両立」に関する観点などが日商の主張が多く盛り込まれている。
日商の意見書では、計画の変更に当たって重点的に取り組むべき課題などについて、国土を俯瞰(ふかん)したグランドデザインを描き、危機管理と経済成長を同時実現する視点から、拠点の地方分散によるサプライチェーンの強靭化や物流・人流網のリダンダンシーの確保などによる「自律・分散・協調」型国土の形成に向けた取り組みの推進が重要と主張。交通ネットワークの充実やエネルギー供給源の分散化といった「全国における一層のインフラ整備の促進が不可欠」との考え 方を示した。
経済活動の早期再開に資する、地域における防災・減災対策の取り組み促進については、ハザードマップと連動した都市計画などを踏まえた移転促進や、木密地域の不燃化対策など、「災害リスクに応じた地域全体の防災・減災力の強化を図るべき」と強調。経済活動の早期再開に資する、企業の防災・減災対策の取り組み促進については、災害による企業の事業活動の停止は、地域経済全体に大きな影響を与えることから、BCP策定、耐震化や拠点分散化など、「民間の防災・減災投資を促進するための一層の支援が必要」と主張している。
大規模災害を想定した広域連携の必要性も指摘。広域的・連鎖的災害が発生した際には、被害を受けていない地域からの早期支援が重要となることから、国主導による広域的な地域計画や事前の復興計画などの策定の必要性を訴えている。
災害後の早期復旧・復興を支える人材育成や民間の支援拠点の強靭化については、発災時の速やかなインフラ復旧や救援物資の運搬を担う地域の建設・運輸業の人手不足が深刻であることから、一層の人材育成、技術承継支援が不可欠と主張。加えて、地域経済の早期復旧・復興を支える企業や、商工会議所などの団体の建物の耐震化などに対する一層の支援も訴えている。
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