独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)はこのほど、2018年版「ジェトロ世界貿易投資報告」を公表した。本稿ではその抜粋を紹介する。
2017年の日本の貿易(通関ベース)は輸出が前年比8・2%増の6972億ドル、輸入が10・5%増の6710億ドルと、輸出は2年連続、輸入は5年ぶりに前年から増加、貿易収支は263億ドルの黒字と2年連続で黒字を計上した。輸出、輸入共に18年も増加が続いているが、輸入の増勢が強く、1~6月の貿易収支は黒字を計上したものの、前年同期から黒字幅は縮小した。
なお円ベースでは、17年の輸出は11・8%増の78兆2865億円、輸入は14・1%増の75兆3792億円、貿易黒字幅は2兆9072億円であった。
相手国別輸出では、経済が堅調に推移する米国が1346億ドル(前年比3・5%増)と5年連続で最大の輸出相手国となった。中国は半導体製造機器、電子部品などが伸び、1327億ドル(16・5%増)と7年ぶりに2桁の伸びとなった。またタイ、インドネシア、ベトナムなどASEANも伸び、中国とASEANで17年の輸出増加分の過半を担った。
中国からの電気機器輸入が好調
輸入では、中国が5・0%増の1643億ドルと引き続き最大の輸入相手国となった。携帯電話など電気機器が好調だった。米国からはシェールガス由来の液化天然ガスなど鉱物性燃料が伸び、6・9%増の720億ドルとなった。
商品別輸出では、一般機械が11・6%増の1385億ドルと好調であった。半導体製造機器が好調を継続したほか、鉱山・建設機械、工作機械も先進国やアジア新興・途上国で投資が回復基調にあることを受けて増加に転じた。輸送機器は米国、中国向けで伸び悩みが見られ、輸送機器全体の伸びも鈍化した。
輸入は原油価格が16年を底に上昇に転じたことから、鉱物性燃料が1411億ドル(27・6%増)と大幅に増加、輸入の伸びの半分を担った。
17年の日本の経常収支は1961億ドルの黒字となり、黒字幅は3年連続で拡大した。黒字拡大に寄与したのは、サービス収支の赤字縮小、第一次所得収支の黒字拡大である。サービス収支では、旅行収支が3年連続で黒字を計上、旅行収支は黒字基調が定着しつつある。また知的財産権などの使用料の黒字幅は204億ドルとなり、初めて200億ドルの水準に達した。
農林水産物輸出過去最高額に
17年の日本の農林水産物輸出額は、前年比7・6%増の8071億円と過去最高を更新した。輸出額が最も大きかった品目は「アルコール飲料」で前年比26・8%増と大幅に増加した。その他、清涼飲料水、牛肉など多くの品目で前年から増加、特に丸太などは中国向けが急増し、増加率は50%を超えた。 農林水産物輸出に大きな影響をもたらす輸出先国の規制については、政府の「農林水産業の輸出力強化戦略」に基づき、規制緩和に向けて各国との協議が一層進んでいる。16年以降、牛肉をはじめ、さまざまな品目で日本からの輸出解禁や検疫条件の緩和などで合意がなされている。
(報告書の詳細は、https://www.jetro.go.jp/world/gtir/を参照)
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