わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、価格交渉力の強化に向けて、どのような取引行為が親事業者の法令違反に該当するおそれがあるのかなどについて解説します。今回は「製品の図面などの技術情報の無償提供」についてご紹介します。
技術情報の無償提供を要請された場合の対応は?
製造を委託した製品の図面や製造ノウハウなどの技術情報を無償で提供するよう要請するなど、受注者の利益を不当に害することは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)または独占禁止法に違反するおそれがあります。
【チェックポイント】
□発注書面上の給付内容に製品の図面などの技術情報の提供が含まれていないにもかかわらず、製品の納入にあわせて発注者から製品の図面などの技術情報を無償で提供するよう要請されていませんか。
□無償で提供した製品の図面などの技術情報を転用して、発注者が別の見積り額の安い業者に発注していませんか。
□無償で提供した製品の図面などの技術情報のデータを用いて、発注者が特許申請をしていませんか。
【相談事例】
Q.下請事業者A社は、取引先B社から金型の製造委託を請け負っています。B社は外国の協力会社で製造した方が製造単価が安いことから、協力会社に当該金型を製造させるため、A社が自ら作成した図面などを対価を支払わずに協力会社に提供していました。B社の行為は下請法上問題となるでしょうか。
A.金型の製造委託を行った場合、発注書面上の給付内容に金型の図面が含まれていないにもかかわらず、金型の納入にあわせて当該図面を無償で提供させることは、不当な経済上の利益の提供要請に該当するおそれがあります。下請事業者に金型とあわせてその図面を提供させたいという場合には、あらかじめ発注内容に金型の図面を含むことなどを明確に記載するとともに、双方で十分な協議の上、当該図面を含んだ適正な対価を設定することが肝要です。なお、協議に際しては、「日時」「担当者(自社・取引先双方)」「方法(対面・電話など)」「交渉経緯」などを書面(議事録など)に残すように心掛けましょう。
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提供
平成30年10月1日から名称が変わりました。
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(旧公益財団法人 全国中小企業取引振興協会)
下請取引適正化の推進を目的に、全国カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。http://www.zenkyo.or.jp
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