日本・東京商工会議所はこのほど、「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」の集計結果を取りまとめた。インボイス制度導入により82.2%が事務負担の増加を実感していることが明らかになった。調査は、2023年10月にインボイス制度、24年1月に電子取引のデータ保存義務化(改正電子帳簿保存法)が始まったことを受け、それぞれの制度開始後における事業者の対応状況や、経理事務、税務申告といったバックオフィス業務の状況などについてまとめたもの。
免税事業者におけるインボイス発行事業者への登録状況は、BtoB中心事業者で73.3%が登録(本則課税転換22.6%、簡易課税転換50.7%)。インボ イス登録を行わなかった免税事業者も64.0%が今後登録を検討していると回答した。一方、BtoC事業者については、同制度導入後インボイス登録を行った事業者は24.9%で、今後の申請についても、「行わない」との回答が69.5%に上った。
免税事業者からインボイス登録をした事業者の状況については、「減収した」との回答が54.9%と半数を超えた。また、制度導入を契機として価格交渉を行った事業者は14.4%で、そのうち60.9%は取引価格の値上げを実現したことが明らかになった。
元々課税事業者でインボイス登録をした事業者の状況については、制度導入以前より免税事業者からの仕入れなどの取引があったと回答した43.4%のうち、現状については、74.0%が「ほぼすべて継続」と回答した。一方、今後の取引については、「継続予定」とする回答は47.1%にとどまった。
インボイス発行事業者のコスト・事務負担については、約半数が「コスト増あり」(48.8%)と回答した。増加したコストは、「既存システムの改 修」(32.4%)が最多で、「税理士への顧問料」(25.0%)が続く。その他、「事務スタッフの残業代」(23.7%)、「新規システムの導入」(23 .6%)の順で多かった。事務負担については、82.2%が「事務負担増あり」と回答。増加した事務負担は、「仕入れ先の登録状況の確認・管理」(66.0%)が最も多く、「インボイス登録番号の確認(受領時)」(57.8%)が続く。その他、「記載要件の確認(発行時)」(54.3%)、消費税率・税額の確認(46・6%)の順で多かった。
改正電子帳簿保存法への対応は、企業規模が小さくなるほど「制度をよく理解できず未対応」の割合が高くなっており、売上高1千万円以下では59.4%と半数を超えた。
電子申告(e―Tax)への対応状況については、企業規模が小さいほど未対応の割合が高く、売上高1千万円以下事業者では25.8%が紙で申告していることが明らかになった。また、そのうち56.1%が「メリットが感じられない」との回答だった。
調査対象は、全国各地の商工会議所の会員企業を対象に、5月20日~6月14日で実施。回答事業者数は3149件だった。
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