大船渡商工会議所(岩手県)は1月28日、地元特産品の蝦夷(えぞ)アワビに焦点を当てた地域活性化事業として、地元でアワビ料理を提供する店舗を紹介する「鮑(あわび)料理・加工品提供店マップ」と大船渡市とアワビの歴史的・文化的関わりを集約した冊子「鮑=大船渡 ~恵みと知恵の産物~」を制作した。同所は、東日本大震災後の2012年度から「失われた販路の回復・新たな販路の拡大」を目的とした支援事業を行っており、今年度は「アワビ=大船渡」というブランディングの確立とアワビ料理の市内外への周知を図った。事業の実施には復興庁の「新ハンズオン支援事業」のグループ支援を活用した。
「鮑料理・加工品提供店マップ」は、これまで市内の観光マップやチラシにアワビ料理に関する内容がなかったことから1万部を制作。観光客らにアワビを「食」の視点からPRする。
冊子「鮑=大船渡 ~恵みと知恵の産物~」は、地域資源としてのアワビが持つ伝統の継承と新たな価値創造に向け、同市とアワビの関わりを掘り下げて明文化したもの。200部制作し、効果的な情報発信ツールの一つとして活用する。
アワビ料理のPR強化のため、24年12月には、地元高校と連携し、生徒がアワビの肝(としる)を使用した焼きおにぎり「としる醤油の焼きおにぎり」を考案。地元の祭りでアワビを使った郷土料理「としるの貝がら焼き」と共に振る舞い、アワビ料理と同事業の周知を図った。また、飲食店組合と連携した料理講習会も開催し、市内飲食店へのアワビ料理の普及を行った。来年度以降も地元高校や飲食店組合、旅館ホテル組合などとの連携事業を通し、アワビに関する市民の意識の醸成、外部に向けた情報発信の改善、加工商品の開発や旅行商品に向けた体験メニューを構築することで交流人口拡大を図る。