日本商工会議所は11月12日、「新たな総合経済対策に関する要望」を取りまとめ、公表した。要望は、政府が策定する新たな総合経済対策などに商工会議所の意見を盛り込むために作成したもの。具体的には、①賃上げ、成長投資の原資を確保するための付加価値創出・拡大②地方への投資拡大と消費活性化による地域経済の好循環の実現③国民・企業を支える社会基盤の整備――を3本柱として、成長型経済へと移行し地域経済の好循環を実現するために必要な対策を盛り込んでいる。今後、政府・政党に提出し、要望事項の実現を働き掛ける。
要望では、わが国経済が、米国関税措置による不確実性の高まりなどを背景に、成長型経済への転換に向けた正念場を迎えている中、中小企業の経営環境がコストプッシュ型インフレや人手不足、労務費の増加、消費低迷など数多くの課題に直面しており、一段と厳しさを増している現状を指摘。成長型経済への移行と地域経済の好循環を実現するためには、将来を見通した適切なマクロ経済政策の推進や、中小企業の「稼ぐ力」の強化、地域経済活性化に向けた政策の立案・実行が不可欠との認識を示した上で、政府に対し、安定した政治基盤の下、与野党の建設的な議論により、政策の停滞を招くことなく、十分な税財政措置を講じて実効性ある政策を実現することを強く要望している。
①では、中小企業の自発的かつ持続的な賃上げの後押しや、サプライチェーン全体での価格転嫁を実現するためには、価格転嫁の商習慣定着に向けた環境整備や、「良いモノやサービスには値が付く」といった価値観を社会全体に浸透させる必要があると主張。また、研究開発やイノベーションに取り組む企業への支援強化などを求めた。
②では、地域や企業の稼ぐ力の強化などを通じた地方創生実現を後押しする地方創生交付金などの財政措置の拡充や、産業立地に不可欠な事業インフラの整備促進のほか、民間主導・公民共創まちづくりに向けた推進体制強化などの必要性を指摘。また、地域人材の確保・育成・定着を促進するため、外国人材受け入れなど、地域における共生社会実現に向けた取り組みに対する支援などを求めた。
③では、歯止めがかからない少子化対策の検証・見直しや持続可能な社会保障制度の構築に向けた改革メニューの着実な実施、資金繰り・資金調達をはじめ、米国関税措置の影響を受ける中小・小規模事業者への対応などの必要性を主張している。
