第5次観光立国推進基本計画(2026〜30年度)が閣議決定された▼目標の30年度の訪日外国人客6千万人、消費額15兆円の目標は据え置きだが、オーバーツーリズム対策や魅力的な観光地に向けたまちづくりなどを通じた需要の地域分散などが盛り込まれている▼
特に、インバウンド観光の偏りによるオーバーツーリズムでは、「生活の質が低下しているなどの地域住民の声も一部にあり、観光客のさらなる受け入れに関する国民の懸念も一部に生じている」とした上で、「現状を真摯(しんし)に受け止め、効果的な対策を講ぜずしてさらなる観光客の受け入れに関する国民の理解は得られない」という強い危機意識が示されたことが印象深い▼
これら新計画については、筆者も参加する日本商工会議所観光・インバウンド専門委員会(委員長:志岐隆史全日空商事顧問)でも、今後の提言に向けた検討を進めている▼
今回の計画の中で、私が特に注目しているのは交通やまちづくりとの連携強化と、美しいまち並みの再生など歴史・文化等の観光資源の保全・活用の2点である。つまり、地方誘客が進まない大きな原因の一つが「交通やまちづくり」にあることが強く認識されてきたこと、「美しいまち並みの再生 、歴史・文化等に関する観光資源の保護・活用」という、いわば「文化観光立国」に向けた方向性が明確に示されていることである▼
これら戦略の骨格を見て感じるのは、観光戦略はいまや政策の垣根を超えた「総合戦略」であり、これを担う地域側でも交通・文化・自然・食、産業振興などを総合的に調整できる部署が必要だという点である。かねてからの主張だが「観光は総合力が試される」のである
(観光未来プランナー・丁野朗)