「創造性」という言葉を聞いてどのようなイメージを抱くでしょうか。ある国際比較調査によると(※1)、日本では半数の人が「これまでにないものを生み出すこと」と答える一方、米国やドイツでは「異なるものを融合させて新しいものを生み出すこと」が半数近くを占め、「毎日の生活を良くするアイデアを生み出すこと」も4割に上るようです。日本では創造性が「ゼロからイチを生む」非日常的で特別な行為として捉えられやすい一方、欧米ではより生活に根差した実践として理解されているようです。
発想法の古典的書籍である『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング著)は、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能によって高められる」と言っています。
拙著『スマートシティとキノコとブッダ』は、タイトルが「謎すぎてインパクトがある…」といった感想をいただくことが多いのですが、書籍自体が「普通であれば組み合わさらなさそうな要素の新しい組み合わせ」であることをそのまま示そうとしたものです。
こうした思考の跳躍を「大喜利」によって説明する書籍もあります。「ケチな旦那とかけて、春の夕日と解く。その心はクレそうでクレない」。「呉れ」と「暮れ」という異なる漢字の音の重なりを利用した発想は、一見関係のない二つを結び付け、意味の跳躍を生みます。ダジャレや大喜利は、新しい組み合わせをもたらす関連性を発見する訓練にもなるのです。拙著が大きく影響を受けた書籍『日本人の知恵』では、日本的な思考による創造的な産物として「あんパン」が紹介されています。ここではパンを「あんこの皮」に「見立て」る発想で西洋と日本を融合させました。
激しく変化する時代において、私たちは「革新的な新技術」や「破壊的イノベーション」に目を奪われがちです。しかし本当に必要なのは、身の回りの要素を丁寧に見つめ直し、そこに潜む関係性を見いだす力ではないでしょうか。創造性は、特別な天才のものではなく、私たちの日常の中にすでに息づいているのです。
※1 https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/122414/
慶應義塾大学 中西泰人研究室 ▶︎▶︎https://unitedfield.net/

