政府は3月27日、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的に推進するため、2026年度から30年度までを計画期間とする、新たな「観光立国推進基本計画」を閣議決定した。観光が、地域そして日本経済の発展をリードする戦略産業であるとの認識の下、観光政策を推進する。本稿では同計画のポイントを紹介する。
1.観光を「戦略産業」として明記
○観光は、インバウンド消費額9・5兆円、経済波及効果19兆円、自動車産業(17.6兆円)に次ぐ第2の輸出産業。
○地域経済や日本経済の発展をリードする戦略産業としてさらに発展させるため、地方誘客などのインバウンドの戦略的な誘客を推進。
2.人数だけを追い求めるのではなく、内容や質を重視
○インバウンド目標6000万人のうち、その3分の2に相当する4000万人をリピーターとする目標を設定(リピーターは地方部への訪問意欲が高く、日本文化・習慣への理解が深い傾向にあり、適切なマナーでの滞在も期待できる)。
○インバウンドの地方部における延べ宿泊者数を1.3億人泊とし、三大都市圏と同等(1:1)とすることを目指す。
○国際情勢などのさまざまなリスクに対する強靱性を確保するための、さまざまな国・地域への戦略的プロモーションの実施。
○インバウンド消費額15兆円、消費額単価をまずは25万円など、消費額拡大を重視(消費額単価の高い欧米豪市場などへのプロモーションや高付加価値化を推進)。
3.「インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」を基本計画の柱として位置付け
○オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策を強化。具体的には、国際観光旅客税も活用しつつ、過度な混雑やマナー違反対策、各種民泊の適切な運営確保などの個別課題への対応や観光コンテンツの充実、地方部への交通ネットワークの機能強化などを通じた地方誘客・需要分散を推進。
○観光客の戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立に取り組む地域数の目標を新設(現状から倍増)。
○「観光と交通・まちづくりとの連携強化」を方向性に明記。観光まちづくりによる美しいまち並みへの再生や、観光客の需要を取り込むことによる「地域の足」の確保など、観光客と地域住民の双方の満足度向上を推進。
4.国内旅行消費額30兆円を目標とするなど日本人の旅行促進(国内・海外)
【国内交流拡大】
○国内旅行は、旅行消費額全体の7割を占める不可欠な市場であることを明記し、国内旅行消費額を30兆円とする目標を設定。
○今後増加が見込まれる高齢者などの旅行需要を喚起するため、ユニバーサルツーリズムを推進。
○ラーケーションの促進など旅行需要の平準化、二地域居住の促進。
【アウトバウンド拡大】
○アウトバウンド拡大を新たな柱に位置付け、アウトバウンド数を過去最高値超えとする目標を設定。
○パスポート手数料の引き下げなどの新たな施策を実施。
5.「住んでよし、訪れてよし」に加え、「働いてよし」の観光産業の実現
○宿泊業が創出した付加価値額に関する目標を新設。
○観光DX・観光人材の確保を推進。