政府は5月30日、「第2回『ニッポン一億総活躍プラン』フォローアップ会合」を首相官邸で開催した。会合では、政府が2016年に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」の進展状況について意見交換を行った。「ニッポン一億総活躍プラン」は、安倍晋三首相が「新3本の矢」として掲げた「名目GDP600兆円」「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」や「働き方改革」に関する具体的施策を提示している。会合に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「各政策が着実に進捗(しんちょく)していることをうれしく思う。いずれも重要な政策であることから、成果が出るまで粘り強く継続することが大切」と評価。一方、「そのためには、安定財源を確保することが何よりも重要」と述べ、来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを確実に実行するよう求めた。
フォローアップ会合開催
一億総活躍プランでは、「名目GDP600兆円」が2021年度、「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」については2025年度までの期限を区切って43のテーマに関する施策をいつ実行するのかを具体的に提示。「名目GDP600兆円」の実現に向けては、人口知能などの活用促進による「第4次産業革命」、IT化などによる中小企業の生産性向上、インバウンド増による観光先進国の実現などを目指すとしている。「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」については、保育・介護人材の処遇改善、また、「働き方改革」として同一労働同一賃金の実現に向けた法改正などが示されている。
政府はこれまでに、新たな技術をあらゆる産業や日常生活に取り入れ、一人一人のニーズに合わせる形で社会課題を解決する「ソサエティー5・0」の実現に向けた取り組みを盛り込んだ「未来投資戦略」の策定、「同一労働同一賃金ガイドライン案」の公表、働き方改革関連法案の国会提出などを行った。
三村会頭は、企業の人手不足が年々深刻さを増していることから、多様な人材の労働参画を促し、活躍を推進するよう要望した。女性の活躍推進については、待機児童の早期解消につながる保育の受け皿に関して、政府試算を大きく上回る89万人分が必要との民間試算もあることから、「必要な整備量を精査すべき」とコメント。さらに、専門的・技術的分野の外国人材受け入れについて、「新たな在留資格を創設することで、受け入れを積極的に進めていくべき」と述べた。
安倍首相は、働き方改革関連法案の会期内成立に意欲を示すとともに、「幅広く即戦力となる外国人材を受け入れるため、新たな専門的・技術的な外国人受け入れの制度を、骨太の方針において提示したい」と述べた。また、今回の議論を踏まえ、さらなる施策の実行に向けてスピード感を持って取り組むよう関係閣僚に指示した。
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