「35歳までの学習歴が人生の80%を決める」。これは、とある会社の式典で、そこの会長が話をした講演タイトルです。
会長は東京の大学を卒業後、公認会計士になるために数年間勉強した後、地元に戻り、家業のパチンコ店を承継して成功を収めました。35歳ぐらいまでは、がむしゃらに働き、大変な思いをしながら2号店、3号店と、拡大していったそうです。
その経験があったからこそ、店舗数をどんどん増やし成功することができた。経営感覚や資金繰り、投資効率などは会計士の勉強によって身に付いたものだった。「若いときに本気でやったことは、人生で必ず役に立つ」といった内容でした。
その話を聞いて自分のことを思い返してみました。数学が大好きで数学者になりたいと勉強していたのですが、大学院の2年のときに実家の家具屋が火事になり、事業を手伝うために夢を諦めました。
実家はディスカウントショップとして再建し、そこで13年間身を粉にして働きました。荷物の出し入れなどの力仕事も本気でやりました。大学院に行っていた息子が専務になって上から指示を出していたのでは、叩き上げの社員は言うことを聞きません。率先して汗を流し、たまにはマージャンや下手なカラオケでコミュニケーションもとりました。そんな日々を送っている間に、社員の中から「これからは専務の時代だな」といった声が聞こえてくるようになりました。それまでに5年かかりました。
この店を大チェーン店にしてみせる、という思いが私の支えでした。1店舗目、2店舗目が成功し、3店舗目の出店準備のとき、「これ以上の規模の拡大はしない」という考えの父親と意見が衝突。家業を辞め、36歳で船井総研に入社しました。
夢を失い空っぽの心のまま、ひたすら船井流を真似てのスタートでした。しかし、数学の知識を応用した数理マーケティングを確立し、4年目にはトップコンサルタントになりました。
ちょうど役員に就任したこのころから、自分のやってきたこと全てが、船井総研で仕事をするためであったのではないか、と考えるようになりました。数理マーケティングはもとより、実家で従業員の金銭トラブルから女性問題にいたるまで解決してきた経験があるからこそ、机上の空論を話すコンサルタントとは違うと、信頼を得ることができたのだと思います。
「35歳までの学習歴が人生を決める」というのは、私の場合も全く同様でした。若いころに死にもの狂いで取り組めば、生きる姿勢が身に付きます。どんな境遇であれ、その姿勢が自ずと一本の道を切り開く。人生とはそういったものなのだと思っています。
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社名:株式会社 風土
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担当:髙橋
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