日本政策金融公庫はこのほど、中小企業の雇用に関する調査結果を公表した。2017年12月において、正社員が「不足」と回答した企業割合は、全業種計で58・0%となり、前年(50・2%)から7・8ポイント上昇した。「適正」は37・0%、「過剰」は5・0%となった。調査は日本公庫の取引先5180社から回答を得た。
業種別では、運送業(76・6%)、建設業(74・1%)、情報通信業(69・3%)などで、「不足」と回答した割合が高かった。また、人手不足の影響について見ると、「売り上げ機会を逸失」(33・1%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費などのコストが増加し、利益が減少」(30・9%)、「納期の長期化、遅延の発生」(15・4%)となった。
人手不足への対応について見ると、「従業員の多能工化」(42・1%)が最多。「残業を増加」(38・7%)、「業務の一部を外注化」(36・1%)が後に続いた。
正社員数の増減を見ると、「増加」と回答した企業は30・8%となり、16年実績(28・5%)と比べて2・3ポイント上昇した。また、「減少」は18・7%となり、16年実績(19・9%)と比べて1・2ポイント低下した。業種別に見ると、情報通信業(40・0%)、製造業(33・9%)、運送業(32・7%)などで「増加」と回答した割合が高い。
従業員数の増加理由を見ると、「将来の人手不足への備え」が53・7%と最も高くなっており、長期的な観点から人材の確保・育成に取り組む姿勢がうかがえる。次いで、「受注・販売が増加」(42・2%)と回答した割合が高くなっており、足元の景気回復の影響も見られる。
減少理由を見ると、「転職者の補充人員を募集したが採用できず」が54・9%と最も高くなっており、労働需給のタイト化が進む中、必要な人員を補充できない企業が多く存在することがうかがえる。
詳細は、https://www.jfc.go.jp/n/news/を参照。
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